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12月03日-03号

  • "被災農家経営再開支援事業"(/)
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  1. 宮城県議会 2012-11-27
    12月03日-03号


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    平成24年 11月 定例会(第339回)       第三百三十九回宮城県議会(定例会)会議録                              (第三号)平成二十四年十二月三日(月曜日)  午前十時開議  午後三時十二分散会      議長                     中村 功君      副議長                    佐々木征治君出席議員(五十九名)        第一番                  太田稔郎君        第二番                  天下みゆき君        第三番                  三浦一敏君        第四番                  境 恒春君        第五番                  堀内周光君        第六番                  石川利一君        第七番                  長谷川 敦君        第八番                  佐々木幸士君        第九番                  村上智行君        第十番                  すどう 哲君       第十一番                  遠藤いく子君       第十二番                  吉川寛康君       第十三番                  伊藤和博君       第十四番                  渡辺忠悦君       第十五番                  細川雄一君       第十六番                  高橋伸二君       第十七番                  菊地恵一君       第十八番                  寺澤正志君       第十九番                  只野九十九君       第二十番                  石川光次郎君      第二十一番                  外崎浩子君      第二十二番                  岸田清実君      第二十三番                  佐藤詔雄君      第二十四番                  菅原 実君      第二十五番                  坂下 賢君      第二十六番                  菅間 進君      第二十七番                  庄子賢一君      第二十八番                  川嶋保美君      第二十九番                  佐藤光樹君       第三十番                  中島源陽君      第三十一番                  本木忠一君      第三十二番                  中山耕一君      第三十三番                  長谷川洋一君      第三十四番                  池田憲彦君      第三十五番                  佐々木征治君      第三十六番                  安部 孝君      第三十七番                  皆川章太郎君      第三十八番                  小野 隆君      第三十九番                  岩渕義教君       第四十番                  本多祐一朗君      第四十一番                  ゆさみゆき君      第四十二番                  藤原のりすけ君      第四十三番                  内海 太君      第四十四番                  坂下やすこ君      第四十五番                  横田有史君      第四十六番                  小野寺初正君      第四十七番                  石橋信勝君      第四十八番                  齋藤正美君      第四十九番                  安藤俊威君       第五十番                  中村 功君      第五十一番                  渥美 巖君      第五十二番                  畠山和純君      第五十三番                  千葉 達君      第五十四番                  仁田和廣君      第五十五番                  藤倉知格君      第五十六番                  相沢光哉君      第五十七番                  中沢幸男君      第五十八番                  渡辺和喜君      第五十九番                  今野隆吉君-----------------------------------説明のため出席した者      知事                     村井嘉浩君      副知事                    三浦秀一君      副知事                    若生正博君      公営企業管理者                伊藤直司君      総務部長                   上仮屋 尚君      震災復興・企画部長              伊藤和彦君      環境生活部長                 本木 隆君      保健福祉部長                 岡部 敦君      経済商工観光部長               河端章好君      農林水産部長                 山田義輝君      土木部長                   橋本 潔君      会計管理者兼出納局長             小野寺好男君      総務部秘書課長                西條 力君      総務部財政課長                池田敬之君    教育委員会      委員長                    庄子晃子君      教育長                    高橋 仁君      教育次長                   伊東昭代君    選挙管理委員会      委員長                    菊地光輝君      事務局長                   伊藤哲也君    人事委員会      委員長                    高橋俊一君      事務局長                   宮原賢一君    公安委員会      警察本部長                  森田幸典君      総務部長                   山村英次君    労働委員会      事務局長                   保理昭泰君    監査委員      委員                     工藤鏡子君      事務局長                   千葉裕一君-----------------------------------    議会事務局      局長                     佐々木昭男君      次長兼総務課長                秋山政己君      議事課長                   菅原幹寛君      政務調査課長                 濱田 毅君      総務課副参事兼課長補佐            三浦正博君      議事課副参事兼課長補佐            片倉邦夫君      政務調査課長補佐               大泉美津子君      議事課長補佐(班長)             渋谷敏彦君      議事課主幹                  布田惠子君      議事課主幹                  高橋 仁君-----------------------------------    議事日程 第三号               平成二十四年十二月三日(月)午前十時開議第一 会議録署名議員の指名第二 議第二百二十五号議案ないし議第二百七十七号議案及び議第二百八十二号議案並びに報告第十八号ないし報告第二十号第三 一般質問   〔村上智行君、本多祐一朗君、只野九十九君、内海 太君〕-----------------------------------    会議に付した事件一 日程第一 会議録署名議員の指名二 日程第二 議第二百二十五号議案ないし議第二百七十七号議案及び議第二百八十二号議案並びに報告第十八号ないし報告第二十号三 日程第三 一般質問   〔村上智行君、本多祐一朗君、只野九十九君、内海 太君〕----------------------------------- △開議(午前十時) ○議長(中村功君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。-----------------------------------会議録署名議員の指名 ○議長(中村功君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。 会議録署名議員に、二十六番菅間進君、二十七番庄子賢一君を指名いたします。----------------------------------- △議第二百二十五号議案ないし議第二百七十七号議案 △議第二百八十二号議案 △報告第十八号ないし報告第二十号 △一般質問 ○議長(中村功君) 日程第二、議第二百二十五号議案ないし議第二百七十七号議案及び議第二百八十二号議案並びに報告第十八号ないし報告第二十号を議題といたします。 御報告いたします。 地方公務員法第五条第二項の規定により、関係議案について県人事委員会の意見を求めましたところ、お手元に配布のとおり意見が提出されました。 地方税法第二百五十九条第二項の規定により、関係議案について東北電力株式会社の意見を求めましたところ、お手元に配布のとおり意見が提出されました。……………………………………………………………………………………………                           宮人委第220号                        平成24年11月27日宮城県議会議長  中村 功殿                    宮城県人事委員会                      委員長  高橋俊一           条例案に対する意見について 平成24年11月22日付け宮議第120号で意見を求められた条例案に対する意見については,下記のとおりです。                 記「議第255号議案 職員等の旅費に関する条例等の一部を改正する条例」 この条例案は,一般職の職員等,特別職の職員及び教育委員会教育長の旅行に係る車賃,日当,宿泊料等について,所要の改正を行うものであり,適当と認めます。……………………………………………………………………………………………                        平成24年11月28日宮城県議会議長  中村 功様                    東北電力株式会社                     取締役社長 海輪 誠      宮城県核燃料税条例案に関する意見の提出について 拝啓 平素は弊社事業に格別のご高配を賜り,厚く御礼申し上げます。 この度,貴県議会11月定例会にご提案されました,宮城県核燃料税条例案に関する意見聴取(宮議第335号,平成24年11月22日付)に対し,下記のとおり弊社意見を提出いたしますので,ご査収方よろしくお願いいたします。                                 敬具                 記 弊社は,これまで貴県との間で女川原子力発電所に係る核燃料税の更新に関する財政需要や税率の水準などについて,協議をさせていただきました。 今回ご提案のありました条例案は,税率12%と現行どおりの内容となっております。 弊社は,今後も立地地域の方々をはじめ県民の皆さまの安全と安心の確保ならびに地域振興に引き続き貢献していく観点から,条例案を受け入れさせていただくことといたしました。同税を通じて,原子力立地地域における安全・防災対策ならびに地域振興が円滑に進み,「立地地域と原子力の共生」がより一層図られることを期待いたします。 弊社は,昨年3月の東日本大震災および7月の新潟・福島豪雨に伴い電力設備が甚大な被害を受け,その復旧費用や火力発電所の焚き増しによる燃料費が大幅に増加し,平成22年度以降大幅な損失を計上するなど,極めて厳しい経営状況にありますが,引き続き電力の安定供給を通じて東北地域の復旧・復興に全力を傾注してまいる所存でありますので,なお一層のご理解とご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。…………………………………………………………………………………………… ○議長(中村功君) ただいま議題となっております各号議案についての質疑と、日程第三、一般質問とをあわせて行います。 質疑、質問は、順序に従い許します。九番村上智行君。    〔九番 村上智行君登壇〕 ◆九番(村上智行君) 皆さん、おはようございます。自由民主党・県民会議の村上智行です。よろしくお願いいたします。 通告どおりに質問をさせていただきます。 大綱一点目、知事の国政に対する考え方について。 あす、第四十六回衆議院総選挙が公示され、選挙の争点として、景気対策、原発問題、エネルギー政策、TPP、消費税増税など挙げられており、本県の復興にとっても、国においても、今後の先行きを決める大切な選挙であります。今回の選挙においては、十一月十六日解散を挟み、与党・民主党からの離党者が相次ぎ、新党の離合集散が日がわりで行われ、有権者のみならず、立候補予定者までもが困惑しているという異様な事態を招いております。そういった状況を見ていると、選挙に有利か不利かだけの行動にしか私には見えません。震災から一年九カ月を迎えようとしている今日においても、高台移転、集団移転が進まず、新たなる場所で生活を始めることができない人々、地盤沈下や土地利用が決まらず、加工場を建てることができない経営者、農地復旧を待っている農業者、資材不足、人手不足に悩む復旧現場、なくなった住宅のローンを払い続けている若い夫婦など、そこには現実があり、そこで暮らす不安や苦悩の中にあり、明日への希望を見出せない多くの人々がいることを本当に心にとめ、思いをはせているのか、国政を目指す皆さんに問いたい。震災からの時間経過は日本全国どこに住んでいても一緒ではありますが、本県を初め被災三県においては、いまだ時間がとまったままの被災者が理不尽とも言える震災の被害にじっと耐えているのです。政治は、最大幸福、最小不幸の実現にあると、私は思っております。既存政党のみならず、新党においても、震災復旧・復興に対してより具体的なこれからの道筋を示すべきであります。 今回の選挙で、十二政党の一部には、特定分野における是非、いわゆるワンイシューを掲げ結党し、とても同一の政治哲学を持って相集っているとは思えませんが、かつては自由民主党宮城県連幹事長としてらつ腕をふるった村井知事はどのような所感をお持ちなのか。また、現職首長のまま党代表や代表代行になっている滋賀県知事、大阪市長などの行動に対し、同じ地方自治体の長としてどのように考えているかをお伺いいたします。 次に、民主党政権について。 三年三カ月前、旧来の自民党政治と決別をし、国民生活第一、地域主権、コンクリートから人へ、官僚支配から政治主導へなどを掲げ、衆議院総選挙において圧勝し、国民の多くは政権交代を歓迎し、多くの期待を寄せておりました。しかしながら、ダム建設中止の撤回、ガソリン税の維持、高速道路無料化断念などなど、マニフェストの自己崩壊とも言える政権運営に、期待を寄せた国民に失望を抱かせたのも事実であります。そして、国家の根幹とも言える外交防衛問題はより深刻で、普天間基地問題、尖閣諸島での衝突事件、領海侵犯問題などにより、特に中国との関係悪化は国内経済にいまだに影響しており、本県においても、国際路線の休止、期待を寄せていた数次ビザなど、地域経済まで影響が及んでおります。 知事は、民主党政権の三年三カ月をどのように評価しているのか。また、十二月十六日に新たな政権が選ばれることになるが、どの政党が政権を担おうとも、国の予算編成は大幅におくれることが予想され、本県のみならず、地方自治体の予算編成に対しても影響が及ぶと考えますが、県としての見解をお伺いします。 環太平洋連携協定、TPP交渉参加に対し、昨年の十一月定例会でも述べさしていただきましたが、今もって十分な国民的議論、客観的な情報開示がなく、更に、政府・与党の統一的意思が全く見えてこない中での交渉参加に向け、突き進んでおります。本県においては、農業の復旧・復興は緒についたばかりで、壊滅的な被害を受けても、営農再開に向け懸命に努力している農業者が数多くいるのです。そのような中で、TPPについて、総選挙の争点の一つに挙げられ、各政党が論戦を交わしておりますが、被災地に立つ農業者は取り残されているようにしか私には思えません。 村井知事の県議会においての発言は、終始、知事が決めることではないといった発言にとどまり、賛否についての言及はしておりませんが、本県農業にとどまらず、大きな影響が出る問題でもあり、知事という以上に政治家、為政者としての判断が問われていると思いますが、改めて、TPPに対する考え方をお聞かせをください。 大綱二点目、震災復旧の諸課題について。 農業の復旧・復興について。 壊滅的な被害から、水稲、イチゴ、トマト、カーネーションなどの施設園芸も、ことしに入り、沿岸被災地では数は少ないながらも営農再開されております。徐々にではありますが、一部田園風景を取り戻しています。しかし、本県の農地復旧状況は、当初の計画どおりに進んではおりますが、被災農家にとってみれば、水稲は一年に一度しか作付ができず、営農基盤である農地の一日でも早い復旧が切望されております。営農再開のおくれが農業者の農業離れを加速させることにつながってしまうのです。津波被害を受けた農地の復旧状況はどのようになっているのか。また、復旧にあわせ、大区画化圃場整備をどのように進めていくのかをお伺いいたします。 農地の復旧と同時に進行させなければならないのが農地集積化で、農業・農村復興計画にあるように、効率的な土地利用と営農方式の導入により、地域農業の再構築とあり、その根幹をなす農地集積は不可欠であり、沿岸市町の進捗状況はどのようになっているのか。また、地域農業のあり方を指し示す経営再開マスタープランなどの状況をお伺いいたします。 仙台平野南部に位置する、私が住んでいる岩沼を初めとする名亘地区は、県内では温暖な気候で日照時間も多く、園芸栽培に適した地帯で、亘理、山元のイチゴを代表とする施設園芸の盛んな地域でもあり、園芸王国と以前から標榜をしております。しかし、その広範囲な地域で昨年から懸念されているのが地下水の塩害です。今回の大震災により、井戸水の塩水化が生じており、大部分は、いまだ用水として使用不能な状況が続いております。従来からの代替として、他の水源から運搬したり上水道を使用するなど、対応しておりますが、コスト面や労力面からも営農に大きく影響を及ぼしております。地下水の塩分濃度増加の原因として、海水の浸水による影響、地盤沈下による塩水の侵入、基盤の地殻変動などが考えられると指摘をされておりますが、県は、原因をどう分析をしているのか。また、長期間に及ぶ可能性が高く、農業者の自助努力では補うことが困難であり、今後の対策をどのように考えているのかをお伺いいたします。 次に、農業教育について。 先月の二十七日、みやぎ農業経営塾が開講され、県内の農業法人、農業生産組織から十九名の受講生が参加をしており、村井知事が塾長として講話をしている姿がニュースで取り上げられておりました。従来からも、さまざまな新規就農者、農業者育成などの事業が行われてきましたが、初めに、開講に当たっての意気込みをお聞かせをください。 そして、震災を境に、民間企業、NGO、NPOなどがさまざまな形で被災地に農業支援を現在も行っており、その活動内容は、農業機械の提供や生産物販売支援、技術支援など、多岐にわたっております。こういった組織が持つ経営的視点、組織の持つネットワークと発信力が、地域や農業者にとっての必要性を改めて認識をさせられました。特定の地域だけでなく県全域でロールモデルを積み上げ、現時点では点でしかない小さな芽をどうはぐくんでいくのかが問われております。そういったことからも、より実践的、専門的な面を充実された農業経営塾に大いに期待を寄せるものです。 次に、名取市沿岸部に立地していた宮城県立農業高等学校が津波の被害を受け、校舎及び農業実習施設など甚大な被害を受け、現在は、宮城農業大学校敷地内に仮設校舎で再開をしております。そして、三年後には、同じ名取市内陸部に新校舎を再建予定となっておりますが、その場所は、農業大学校、宮城大学食産業学部と地理的にも近く、施設の相互利用や、教育カリキュラムにおいて連携を図ることが可能になると思われます。学校間の連携はこれまでは少なく、二校間の連携、協力がことしに入り行われておりますが、三校による相互連携、協力協定等はまだ行われておりません。今後は、お互いの強みを活用しながら相乗効果を図ることが、農業者、アグリビジネス経営者の育成につながり、ひいては本県農業の復興を牽引する人材として活躍することにつながるはずだと確信をしております。県として、農業高等学校、農大、宮城大との相互連携を図り、人材育成、農業ビジネスを推進する上で有効かつ効果的と考え、今後ぜひとも取り組むことを塾長でもある知事の御所見をお伺いいたします。 復興交付金、基幹事業の被災地域農業復興総合支援事業について。 第四次交付金事業において、沿岸七市町が農地集積、大規模経営を前提に水稲施設整備を申請し、先月末に交付金可能額の通知がされましたが、二十四年度、二十五年度事業申請の一部が認められたにすぎませんでした。この内訳は、田植えまでの春作業分までの育苗施設等が認められて、その後の刈り取り、乾燥調製貯蔵施設は次回の申請になり、現状において復旧工事などが資材、人材不足で遅延しているこの状況においては、来年の水稲作付に大きく影響が出るものと容易に予想がつきます。このような状況では、秋作業で使用する施設の見通しが立たなければ、農業者のだれもがリスクを背負いながら作付を再開する意欲を持てるとは思えません。県としての認識をお伺いいたします。 次に、住宅再建独自支援について。 何度も繰り返されている議論になりますが、住宅再建の支援は、被災地、被災者にとって最も切実な問題だからこそ、どうにかして改善の糸口を見出そうと、ここにいるすべての皆さんがあらゆる方策をめぐらせておりますが、いまだ個人資産の形成に資するという壁を乗り越えられずにおります。しかしながら、被災者が求めているのは、震災によって失った資産の復元ではなく、日常生活を送るための基本的な基盤の回復を望んでいるだけなのです。そのようなことからも、国が終始言っている個人資産の形成には決して当てはまらないと考えますが、知事は、この大震災において、今問われている個人資産の形成についてどのように考えているのかをお伺いいたします。 そして、建築基準法の災害危険区域外の住民や、がけ地近接等危険住宅移転事業の遡及適用などに対する独自の住宅再建支援事業を、沿岸部市町においては時間の経過とともに次々に打ち出しております。しかし、被災住宅の数や財政力の違いが明確に出て、支援事業の内容は、自治体間において比較をすると大きな隔たりがあり、被災者間における不公平感がますます増幅されるばかりであります。沿岸自治体においては、復興の担い手となる若年層を中心として人口流出に歯どめがかかっておらず、地域のみならず、町そのものの存続にまで今後少なからず影響が及ぶのではないかと危惧しております。そして、県においても、たび重なる政府要望、復興交付金の効果促進事業の活用など国に対し働きかけを行っていることも承知をしておりますが、このような各自治体の支援策の格差の現状を県はどのようにとらえているのかを、改めて御認識をお伺いいたします。 各自治体の支援事業の財源を調べると、仙台市、女川、南三陸町以外はすべて復興基金による支出になっており、ここで問題となってくるのが、住宅再建支援事業に要する支出で復興基金の大半を使い切ってしまうことです。復興基金事業とは、長期間にわたって自治体の裁量により早期復興のために各般の取り組みを補完し、被災者の救済と自立支援並びに総合的な復興対策を安定的、機動的に実施していくものであります。沿岸自治体においても、今後、防災集団移転などによるまちづくりや地域コミュニティーの形成など、ハード面だけでなく、ソフト面の支援が必要となってくるはずです。それも基金のみでは十分な財源的手当てができないために、住宅再建支援策に格差が出ている現状では、一刻も早い基金の積み増しが必要なのは言うでもありません。知事も次善の策として、特別交付税による復興基金の積み増しの必要性を述べており、政府・与党の皆さんも認識を共有していますが、一向に反応がないとのことでしたが、現状ではどのようになっているのか、お伺いします。昨日の県内の十五市町の自治体の首長と復興大臣との会議で住宅再建に対するものが出ておりますが、質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。 また、基金事業で対応するとすればどういった支援基準で、必要額はどの程度になるのか想定をされているのであれば、お示しをください。 次に、仙台空港の復旧・復興について。 航空輸送需要の拡大を図り、国の産業、観光などの国際競争力、地域経済の活性化の向上を目的とした民間の能力を活用した国管理空港の運営に関する法案が、衆議院の解散によって廃案になってしまいました。県においては、昨年から国の民営化の動きに合わせ、仙台空港のあり方検討会、ことし二月からは、民間企業、空港関係者、国、関係自治体などにより、仙台空港等活性化検討会が開かれ、国の補助事業で、六月補正により仙台空港活性化調査を委託し、今年度末には調査結果が出てくると聞いております。今回の廃案により、今後のスケジュールに影響が出るものと思われますが、県としてどのように考えているのかをお伺いいたします。 また、知事は、ことし七月に行われた日経ビジネスイノベーションフォーラムで、年間旅客数六百万人、貨物取扱量五万トンという野心的な目標を掲げており、現状から照らし合わせると、かなり高いハードルと感じられますが、設定根拠はどのようにしてなされたのかをお伺いいたします。 また、空港滑走路、空港ターミナルビル、アクセス鉄道、SACT、駐車場の一体運営を目指して検討を重ねておりますが、現時点において、空港民営化の意義、そして、懸念されることはどのように認識されているのかをお伺いいたします。 空港運営の民営化の流れは、今後オープンエアー、LCCの台頭などにより、加速化されるものと考えます。言葉だけでなく世界に向けた東北のゲートウエーとして発展を実現するためには、これまでの滑走路供用時間延長などに協力と理解を示してきた地域住民、自治体との連携は、従来以上に密にしていかなければ、空港周辺活性化の実現は困難になると思われます。更に、今回の震災により、空港隣接居住地域は、津波被害により壊滅的被害を受けており、名取、岩沼両市においても復興計画が策定をされており、平成八年に策定されている仙台空港臨空都市整備基本計画との整合性が問われてくると思いますが、見直しを含め、どのような方向性を持って対応していくのかをお伺いいたします。 次に、復興予算の繰り越しについて。 十一月二十日に、被災三県と仙台市合同による政府要望がなされ、内容は、国の平成二十三年度補正予算等による公共土木施設等の復旧・復興事業が、用地取得の難航や資材不足による工期延伸などの要因により、相当の事業が明許繰越年度内に完了することが困難な状況にあり、繰越手続の簡素化と、同様の理由により執行不可能となった事業の後年度における再予算化を求める要望が出されております。その後、十一月二十七日に必要最低限の事項を記載する簡易な様式を作成し、一枚ですべてを簡潔にするなどの事故手続の改善がなされておりますが、未契約の事故繰り越し、一回限りとされている事故繰り越しを複数回可能にする措置はされておりません。今後も膨大な量の復旧・復興事業の実施により、職員不足や入札不調が続くことが予想され、同様な状況が続くと思われます。平時の対応ではなく、非常時の最中にある本県においては、弾力的運用が必要不可欠です。現時点において、農水省、国交省所管の災害復旧事業で、二千七百五十五件、千六百四十一億円が見込まれておりますが、どのように改善されるのかをお伺いします。 また、復興予算の確保や今後の財政運営にも影響が及ぶ懸念がありますが、県としての対応をお伺いいたします。 そして、以前から懸念されている中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業等においても、施設復旧が、地盤のかさ上げや高台移転等の工事のおくれにより、年度内着手が困難なケースがあります。そこで、平成二十三年度交付決定された千百九十二者の中で該当する割合はどのようになっているのか。また、事故繰り越しへの対応はどのように検討なされているのかをお伺いいたします。 以上で、壇上からの質問とさせていただきます。 御清聴まことにありがとうございます。 ○議長(中村功君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 村上智行議員の一般質問にお答えをいたします。大綱二点ございました。 まず、大綱一点目、国政に対する考え方についての御質問にお答えをいたします。 初めに、今回の総選挙において、新党で離合集散が繰り返されるなどの事態となっている政党のあり方に対する所感はどうかとのお尋ねにお答えをいたします。 政治家として一定の政治理念を持ち、ある目的を達成しようとしたとき、そこに共通の理念のもとに何らかの政策を推進し、実現しようとする枠組みが生じ、その一つの形がいわゆる政党の結成というものであると思います。したがって、こうした動き自体は、政治家としてごく自然な動きであるかと思いますが、昨今の政党の離合集散の状況は、元自民党県連幹事長経験者としてというよりは、むしろ一般国民感情としても、やや行き過ぎの感は否めないものと思っております。 次に、現職首長のまま政党の代表として行動することに対する所見についての御質問にお答えをいたします。 現職の首長が自身の政治活動として政党の代表者となること自体は、法律上禁じられておりませんので、それぞれの首長がみずからの責任で判断すべきものと考えております。このことについて、私のこれまでの経験に照らせば、地方自治体の長は、その職務が多岐にわたり、その判断も住民の生活に直結するなど、重責を担うものでありますことから、国政を動かすこととなる政党の代表者と両立することはなかなか容易なことではないと感じております。 次に、民主党政権の評価についての御質問にお答えをいたします。 民主党政権は、前回の衆議院選挙において、子ども手当の導入、公立学校の実質無償化、高速道路の無料化などを掲げて誕生しました。しかしながら、マニフェストの達成状況から、その後の政権運営を振り返りますと、みずからも検証されておられますように、実現できた取り組みもありますが、その実現に至っていない取り組みも数多くありまして、国民から寄せられた期待に十分にこたえるまでには至っていないと考えております。 こうした中で、被災地の知事といたしましては、復興財源の大部分を国の費用で確保したことや、東日本大震災復興特区、復興交付金等の新たな制度が創設されたことなどについては評価をしております。一方で、東京電力福島第一原子力発電所事故について、対応が後手に回り、風評被害対策等も我々が納得できる対応がいまだなされておらず、遺憾に思っているところもございます。 次に、国の予算編成のおくれによる影響についての御質問にお答えをいたします。 通常、年内に決定される翌年度の国の当初予算案や地方財政対策などにおくれが生じますと、公共事業などの国庫補助事業や地方交付税の大枠も見通しが立たず、我が県のみならず、各地方公共団体において、来年度の当初予算編成に影響が及ぶ可能性がございます。特に、震災からの復興が最重要課題である被災地では、震災復興特別交付税や公共事業の復興枠など、復旧・復興に密接にかかわる財政措置によるところが大きく、確かな見通しのもとで来年度の当初予算編成を行う必要があることから、国において一刻も早い予算編成作業が行われることを望むものであります。 次に、TPPに対する所見についての御質問にお答えをいたします。 TPPについては、農林水産業に大きな影響を及ぼす可能性がある一方で、製造業の国際競争力の維持に寄与するとの見方もあり、産業を初めとした国民生活のさまざまな分野に影響を与えることが想定されます。このようなことから、国においてTPPに関する必要な情報を国民に示し、議論を深めていくことが必要だと考えています。被災した我が県においては、一日も早い被災者の生活再建や農林水産業の再生に向けて全力を挙げて取り組んでいるところであり、緒についたばかりの被災地復興に支障を来すことがあってはならないと考えております。そのため、農林水産業はもちろんのこと、被災地のさまざまな産業に関係する方々の意見に十分耳を傾け、しっかりとした説明や情報提供を行った上で広く国民的な議論を尽くすよう、北海道、東北各県の知事などとともに、被災県の知事として、国に対し訴えているところであります。TPP交渉への参加問題については、国が被災地の要望も含め、さまざまな意見をよく聞いた上で責任を持って国益にかなう判断をしていただきたいと考えております。 次に、大綱二点目、農業の復旧・復興についての御質問にお答えをいたします。 初めに、みやぎ農業経営塾開講に当たっての塾長としての意気込みはどうかとのお尋ねにお答えをいたします。 みやぎ農業経営塾は、県が国から委託を受けた一般社団法人アグリフューチャージャパンと連携し、我が県農業の復興の活性化の中核となり、更に新たな可能性に挑戦し、新しい価値を創造できる次世代リーダーの育成を目指し、来年三月まで開催することとしております。開講に当たっては、塾長として、私自身の志と経験、私がリーダーとして平時から心がけている遠方目標と中間目標をしっかりと定めることなどを伝え、農業は伸びしろの大きい必ず発展する産業だという思いをお話しいたしました。みやぎ農業経営塾においては、全国トップクラスの講師陣から学び、塾生同士が刺激し合うことで、将来、塾生が我が県農業の牽引役として活躍し、更に全国そして世界に羽ばたくことを大いに期待するものであります。 次に、県農業高等学校、農業大学校、宮城大学の三校による連携や協力に取り組むべきと思うがどうかとの御質問にお答えをいたします。 被災した県農業高等学校は、宮城大学や農業大学校から施設用地や農場の一部の提供を受け、生徒の学習環境を確保しております。また、県農業高等学校は、他の県内農業関係高等学校とともに、農業大学校との間で、ことし二月に教育交流等の連携協定を締結しております。この協定をもとに、現在、農業大学校は、県内農業関係高等学校の職員や生徒を対象に、農業機械の基本操作や農業技術研修を行うことなどを予定しており、その準備を進めているところであります。一方、農業大学校は、宮城大学から講師の派遣を受けており、更なる連携を図るため、ことし三月に人的・学術交流の連携協定を結んでおります。これらの相互連携は、限られた資源を有効に活用しながら、農業教育の質を高め、我が県農業を牽引する人材育成を図ろうとするものであり、農業ビジネスの発展に結びつくと考えております。今後、三者による協定締結を視野に入れ、更に連携や協力を強化してまいりたいと考えております。 次に、住宅再建支援と個人資産の形成についての御質問にお答えをいたします。 これまで国に対しましては、各市町が行う独自の住宅再建支援策の財源措置を強く要望してまいりましたが、この過程で、国からは、個人資産の形成に該当し、認められないとの指摘を受けてまいりました。私は、仮に国の指摘が正しいとしても、東日本大震災という未曾有の津波被害からの復興においては、復興交付金の対象とされない方々の住宅再建もしっかりと支援することが、一刻も早く生活の場を取り戻す点はもちろんのこと、市街地や都市機能の再形成など、地域全体の迅速な復興という観点からも必要不可欠であると考えておりますことから、公的な支援制度の創設と財源の確保を強く国に求めてきたところであります。 次に、各自治体支援策の格差の現状についての御質問にお答えをいたします。 沿岸部のほとんどの市町では、住宅ローンの利子補給、移転費用やかさ上げに対する補助など、独自の住宅再建支援策に取り組んでおります。その支援の対象や限度額等については、市町によって差異が見られるところでありますが、御指摘のとおり、その背景には、財源見通しが立たないことが大きく影響しているものと受けとめております。 県といたしましては、このように市町の財政力の違いによって支援制度に格差が生じることは、復興まちづくりをおくらせる要因となるほか、被災者支援の公平性を確保する観点からも好ましくないと考えております。したがいまして、市町が必要な支援施策を推進できるよう、国としてしっかりとした財源措置を行うことを強く訴えてきたところであります。 次に、特別交付税による復興基金積み増しの国の検討状況についての御質問にお答えをいたします。 国では、去る十一月三十日に日本再生加速プログラムを閣議決定いたしました。この中で、今後決定する経済対策第三弾の本格的な補正予算で対応するものとして、津波被災地域における住民の定着促進を通じた地域の復興の支援という項目が盛り込まれ、その財源としては、震災復興特別交付税の増額が明記されたところであります。この実現のためには、今月実施される総選挙後の国会における補正予算の成立と、地方交付税法の改正が前提となるものではありますが、県と市町が一体となって訴えてきた現場の声を政府として受けとめ、住宅再建支援のための具体的な財源を含めて方針を決定したことは大きな前進であると考えております。 次に、復興基金で対応する場合、支援基準や支援額をどう想定しているのかとの御質問にお答えをいたします。 現時点では、国における震災復興特別交付税の増額の算定基準や総額については不明であります。算定基準については、これまで津波浸水区域における災害危険区域以外の被災者の住宅再建支援を強く求めてまいりましたので、そのことを踏まえた算定になるものと考えております。また、総額については、国に対し被災地の実態に基づいた住宅再建に要する経費等を詳細に情報提供してまいりましたので、このことを踏まえた金額が交付されるものと期待をしております。今後は、速やかに震災復興特別交付税の追加交付がなされるとともに、支援策に取り組む市町にとって十分な額が確保されるよう、引き続き国に強く働きかけてまいります。 次に、空港民営化関連法案の廃案による影響についての御質問にお答えをいたします。 民間の能力を活用した国管理空港等の運営等に関する法律案が廃案となりましたが、国からは、空港経営改革の必要性は何ら変わるものではなく、次期通常国会に法案を再提案し、成立を目指すと伺っております。 県といたしましては、現時点で法案が未成立でありますことは、国の空港経営改革の流れに大きな影響を与えるものではないととらえており、引き続き県の意向を反映した仙台空港の経営改革が実現できるよう、国と連携を密にして準備を進めてまいります。 次に、仙台空港の将来の目標についての御質問にお答えをいたします。 県では、ことし十月に策定した仙台空港の経営改革に関する宮城県基本方針において、民間の空港運営権者への期待として、過去最大時の約二倍に当たる年間の航空旅客六百万人、航空貨物五万トンという目標を掲げております。海外においては、LCCの拠点化や観光業界と連携した集客により、十年で旅客を約二・五倍にしたオーストラリアのゴールドコースト空港や、LCCやビジネスジェットを最大限に活用した空港経営により十一年で旅客を約三倍にしたイギリスのルートン空港などの例がございます。仙台空港は、多彩な観光資源を有する東北のゲートウエーであり、仙台市内までアクセス鉄道で最短十七分、最寄りのインターチェンジまで車で五分と、交通の利便性にすぐれております。こうした仙台空港の特徴を生かし、新規航空需要の創出が期待されるLCCの誘致を初めとする航空ネットワークの充実や、成長著しいアジア各地からの誘客の強化、ビジネス利用の促進などを図ることにより、目標の達成を目指してまいりたいと考えております。 次に、空港民営化の意義等についての御質問にお答えをいたします。 仙台空港の民営化の意義は、民間の知恵と資金を生かした機動的で柔軟な空港運営により、航空ネットワークの充実やサービスの向上が図られ、これにより、旅客や取扱貨物量が増大し、空港及び周辺地域が活性化することであると考えております。更に、宮城県のみならず、東北の復興と発展を牽引する空港となることを期待するものであります。 また、空港の民営化に当たっては、航空需要の拡大や周辺環境対策等に、民間の空港運営権者、国及び地域が一体となって取り組む仕組みが重要であることから、その仕組みをどのようにつくり上げていくかが課題であると考えております。県といたしましては、国や地方自治体、周辺住民及び関係団体との調整を行うなど、その環境づくりに積極的に取り組んでまいります。 次に、復興予算の繰り越しについての御質問にお答えをいたします。 復旧・復興予算の事故繰越手続の弾力的運用につきましては、機会をとらえて国に要望してきたところでありますが、先月開催された国の第四回復興推進会議において、繰越理由書の簡略化、工程表や図面等の添付書類の廃止、財務局によるヒアリングの省略の三項目について合意がなされ、事務手続の大幅な簡素化が図られる見込みとなっております。しかしながら、やむを得ず執行不能となった予算について、後年度に国で再予算化するとともに、被災地の復旧・復興の進度に応じた予算配分措置を求めるとの要望については、明確に認められておりません。また、未契約事業の事故繰り越しや、現行制度では一回限りとされている事故繰り越しを複数回可能とする要望につきましても、認められておりません。事故繰越年度内に事業が完了しない場合には、打ち切り精算を行い、残工事を県単独費で別途発注する必要が生じ、多額の財政負担と多大な時間を要することから、復旧・復興事業の進捗に大きな影響が出ることが懸念されます。県といたしましては、このような状況を回避するため、後年度の再編予算化と複数回の事故繰り越し等について、引き続き国に対し強く要望をしてまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(中村功君) 経済商工観光部長河端章好君。    〔経済商工観光部長 河端章好君登壇〕 ◎経済商工観光部長(河端章好君) 大綱二点目、震災復旧・復興の諸課題についての御質問のうち、グループ補助金の事故繰り越しへの対応についてのお尋ねにお答えいたします。 ことし九月に東北経済産業局が実施した事業者アンケート調査の結果によりますと、平成二十三年度に交付決定を行った千百九十二者のうち、今年度中に事業が完了しない見込みと回答した事業者は約百者、そのうち、今年度中の事業着手が困難と回答した事業者は約五十者となってございます。 また、事故繰越手続につきましては、先ほど知事から答弁がありましたように、十一月二十七日の第四回復興推進会議において、手続の簡素化を行うことについて合意がなされたほか、繰越事由を類型化、定型化した例文が示されたところでございます。しかしながら、事業者の繰越理由が今回例示された繰越事由に該当し、すべて承認されるかどうかについては、依然として明確となってはございません。県といたしましては、改めて、事業者の繰越理由の確認を行い、今般の特例措置によって事故繰り越しが幅広く認められるよう、国に対し適切に対応してまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(中村功君) 農林水産部長山田義輝君。    〔農林水産部長 山田義輝君登壇〕 ◎農林水産部長(山田義輝君) 大綱二点目、農業の復旧・復興についての御質問のうち、農地の復旧状況と圃場整備の進め方についてのお尋ねにお答えいたします。 東日本大震災により津波被害を受けた農地のうち、復旧を要する面積は約一万三千ヘクタールに及びます。農地復旧については、一日も早い復旧を望む地域の声を踏まえ、基本的に平成二十五年度までの三年間で復旧するよう、農地・農業用施設の復旧・復興のロードマップに基づき復旧を進め、今年度内にはロードマップで目標とした九千三百五十ヘクタールに対し、約一万二百ヘクタールで復旧に着手する予定であり、復旧が必要な面積の約七八%に達する見込みです。 一方、関係市町からの要請を踏まえ、大区画圃場整備を通じ、農地の面的な集約や経営規模拡大による競争力のある経営体を育成するとともに、防災集団移転促進事業による住宅跡地の集積・再配置など、土地利用の整序化を目的とし、津波被害が著しい未整備の農地を中心とした約四千ヘクタールについて、復興交付金を活用した農地整備を進めているところです。 県といたしましては、今後とも地域の関係者の意向を十分踏まえ、早期の復旧と計画的な農地整備の推進を目指してまいります。 次に、関係市町における農地集積の進捗状況及び地域農業のあり方を示す経営再開マスタープランの状況についての御質問にお答えいたします。 関係市町における担い手への農地集積率については、平成十九年度末では五〇・一%であったのに対し、平成二十二年度末に五四%と、おおむね順調に伸びてきておりましたが、平成二十三年度末は震災の影響もあり、五二・八%と停滞をいたしております。県及び関係市町の復興計画においては、大規模な土地利用型農業を展開できるよう、担い手への農地集積を進めているところであり、今後は農地集積率が上がるものと考えております。 また、経営再開マスタープラン事業については、担い手に対する農地集積の実現に向けた取り組みを支援するものであります。昨年度に三市二町で十五プランが作成され、約三十三ヘクタールの農地が集積されたほか、今年度については農地の復旧が進み、農地の出し手が見込まれる七市五町で四十五プランの作成と約三百五十ヘクタールの農地集積が計画されていることから、被災農地の復旧とともに事業の推進が図られる状況となっております。 次に、施設園芸に使用する井戸水の塩水化の原因と今後の対策についての御質問にお答えいたします。 仙台平野南部地域における地下水の塩水化については以前から問題となっておりましたが、震災以後、一層悪化したと認識いたしております。この塩水化問題については、平成二十年度から東北農政局において地下水制御のための調査を実施してきておりますが、原因を特定するには至っておりません。このため、県といたしましては、現在、岩沼市、亘理町、山元町において、上水道を使用しながらも、より節水が可能となる養液栽培、更には雨水利用及び淡水化装置等を含め、用水確保や労力軽減の低コスト化に向けた試験研究を実施いたしております。これらの成果を生かし、引き続き補助事業等を活用した養液栽培システムや淡水化装置等の導入を支援してまいりたいと考えております。 次に、被災地域農業復興総合支援事業における秋作業用施設の整備見通しと作付再開についての御質問にお答えいたします。 今回の被災地域農業復興総合支援事業の交付可能額の通知では、秋の作業に必要な乾燥調製施設については設計費のみ認められ、建設費は見送られております。今後の対応については、復興庁より第五回申請の予定が年度内と示されたことから、次回申請での確実な採択に向け速やかに設計に取り組むよう、市町を指導してまいります。また、来年の収穫作業を心配している農家については、市町が施設整備のスケジュールを十分周知することにより、安心して作付をしていただきたいと考えております。県といたしましては、次回の要望が認められるよう、国に対して強く要請してまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(中村功君) 土木部長橋本潔君。    〔土木部長 橋本 潔君登壇〕 ◎土木部長(橋本潔君) 大綱二点目、震災復旧・復興の諸課題についての御質問のうち、仙台空港周辺地域の整備計画の見直しについてのお尋ねにお答えいたします。 県では、平成八年度に仙台空港臨空都市整備基本計画を策定し、仙台空港アクセス鉄道や県道塩釜亘理線、なとりりんくうタウンの造成など順次整備を進めてまいりました。こうした中、東日本大震災により、空港周辺地域でも甚大な被害が発生し、状況が大きく変化したことから、県では、ことし七月に、仙台空港臨空都市整備基本計画及び名取、岩沼両市の震災復興計画を踏まえ、みやぎ国際ビジネス・観光拠点化プランを策定いたしました。その中で仙台空港の発展と周辺地域の活性化を実現するため、空港の民営化を促進する仙台空港活性化プロジェクトや、新たな観光資源の創出と新産業関連企業等を誘致する周辺地域活性化プロジェクトなどを推進していくことといたしました。県といたしましては、今後、このプランに基づき、国や名取、岩沼両市と連携し、周辺住民の理解と協力を得ながら、仙台空港及びその周辺地域の本格的な復興と発展を図ってまいります。 以上でございます。
    ○議長(中村功君) 九番村上智行君。 ◆九番(村上智行君) 再質問させていただきます。 まず最初なんですが、昨日の十五市町首長との意見交換会ですか、復興大臣。それには知事は出席をされたはずです。きょうの新聞報道を見ると、復興特交が一千億円積み増しというか、なるというふうになっているんですが、そのあたりの会議のことはどのような状況だったのか、まず教えてください。 ○議長(中村功君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 先ほど答弁したように、しっかりと対応するという方針は示されましたが、残念ながら、閣議で決定した以上のことは何もお話しになりませんでした。金額についての言及は全くございませんでした。終わった後の大臣へのぶら下がりのときに、大臣がそのようにお話しになったそうでありますが、その席に私はおりませんで、大臣がそのようにお話しになったというのをマスコミから聞いたということでございます。具体的に一戸当たり二百万か二百五十万ぐらいというようなお話しになったというふうに聞いておりますが、総額で一千億というような数字になったというようなお話をされたそうですが、我々の会議の席上お話しになったわけではありません。私どもは正式な話は、正確な話は何も聞いていないというのが、私の答弁ということになります。 ○議長(中村功君) 九番村上智行君。 ◆九番(村上智行君) 独自支援に対して何らかの対応するという意味では認めるんではありますが、やはり当事者である沿岸部の十五市町の首長がそろっての意見交換会で言わずして、マスコミのぶら下がりでその金額を提示するというのは、だれのための支援策なのか。あしたから始まる選挙のための支援策なのか。そんなふうに疑わざるを得ないんです。衆議院は解散しているんですが、やはり当事者である皆さんにしっかりと政府として--そのように私は思うんですが、知事どうでしょうか。 ○議長(中村功君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 大臣がそういう意図を持って、選挙の目的でということでお話しになったのではないと私は受けとめております。閣議決定されまして、津波被災地域における住民の定着促進を通じた地域の復興支援という項目が補正予算の中に盛り込まれそうだと。財源としては復興特別交付税の増額でというふうになったということでございます。ただ、これは次の国会で諮るものでありますので、どこが政権とるかによってもまた変わってくるということもあって、これ以上踏み込めなかったのではないかと推測しております。ぶら下がり会見の議事録の要旨をちょっと見ましたら、その中で大臣は、全体として詰まっているわけではないが、復興庁というか、私の試案の中では、一戸当たり二百万か二百五十万、マックスで一千億ぐらいは必要じゃないかと思っているということで、これだけ手当てするというふうにおっしゃったわけでなくて、必要じゃないかと思っていると、私案だったというふうにおっしゃってますので、これはあくまでも大臣の心の中の言葉だというふうに受けとめております。 ○議長(中村功君) 九番村上智行君。 ◆九番(村上智行君) やはり、この時期においてです。そして、私の心の中では、私案ですとか、その地域の中では本当に格差というか、住んでいる場所によって支援がまちまちになってて、その中で待ち望んでいる皆さんがいると、そういうふうな状況を本当にわかっているのかと。復興大臣であるならば、そのあたりはしっかりと受けとめているはずだと思っていました。しかしながら、考えたくはないんですが、あしたから選挙は始まります。政府・与党は厳しいと言われています。そういった中で、少しでもまたそういう支援策を出して、ばらまき政策をやっていくのかと、そういうふうに思ってしまい、しまいたくはないんですが、やはりタイミングと、そして、解散をした状況の中でそういう大事なことを出していくというのは、全くもって理解できません。それと、十一月の解散の前日です、十五日、これ近畿地方整備局の移管を突然決めましたよね、与党の方は。知事、その辺知ってますか。 ○議長(中村功君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 詳しくは近畿の話ですのでわかりませんが、そういうようなことがあったということは仄聞しております。 ○議長(中村功君) 九番村上智行君。 ◆九番(村上智行君) やはり政府・与党なんですから、正々堂々と選挙に臨んでほしいですし、その解散間際にさまざまな関西連合に対して、近畿地方整備局ですか、そちらの方を移管してくれというふうな要望があったから、そういったことを突然解散の前日に持ち回り閣議で決めたりですとか、そして今回のこの件もそうです。やはりそういったところは、与野党超えて震災復旧・復興に当たっていくということをみんなで約束したはずなんです。そのことを政府としてはしっかりやっていただきたい。そんな姑息な手を使わずに堂々とやっていただきたいと思います。これは、知事も道州制ですとかそういったことを標榜しているわけですから、そこの面で、突然、地方整備局を移管すると、広域連合の方に移管する、それも関西だけですよ、関西だけ。ほかの地方整備局は全く触れてない。これ、持ち回り閣議、十一月の十五日です。確認をしてみればわかると思うんです。この件はいいです。これはあしたから言ってまいります。 そして、もう一点、TPPに関してなんですが、これもTPP反対とかという政党ができるぐらい、争点になっている。政党としてそのワンイシューだけで私は成り立つのかといったら、それら全く理解はできないんですが、やはり本県においてはまだ考える状況にないということなんです。そして、きちんとした生産基盤が復旧をしてやっていく、そこまでまず持っていくことが第一なんです。その農業者の意欲をそぐようなことはしてはいけないと私は思っております。知事はTPPを決める立場の人ではありませんので、そこで、知事が賛成、反対と言おうとも、政府は政府として決めていくんであれば、政治家村井嘉浩としてどうなんだということが聞きたかったものですから、再度お伺いさせていただきました。よろしくお願いします。 ○議長(中村功君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 今の質問は、別の言い方、おしかりを覚悟で言うと、コーヒーが好きか、紅茶が好きか、はっきりしろと。私は、コーヒーもいいし、紅茶もいいと、そう言うと、お前は政治家なんだからもっとはっきり言えと言っていると思います。コーヒーか紅茶かどっちか決めなきゃいけないという立場にあれば、これは決めなきゃいけないと思うんですが、残念ながら、どっちも好きだと言わざるを得ない。つまり、TPPについても、先ほども言っているように、メリットもあればデメリットもあるということです。ですから、私が生産者、ものづくりの立場の人間ならば、これ絶対賛成だと言うと思いますし、農家の立場ならば絶対反対だと言うと思うんですね。したがって、いろんな意見があるのはもっともで、私としても、当然、どちらの考え方もよくわかりますし、私がいい悪いと決める立場にない以上は、どちらの考え方もよく聞いた上で判断をしてほしいというのが、私の本当に素直な考え方、決して逃げているわけではなくて、本音だということでございます。ただし、これが私が決める立場ならば、これはもう国のためどちらが進む方がいいのかということを決断して、批判を受け、どちらかから必ず批判を受けますけれども、私はどちらかを選択するというふうに思いますが、今そういう立場でないものですから、本音をお話ししているということでございます。御理解いただきたいと思います。 ○議長(中村功君) 九番村上智行君。 ◆九番(村上智行君) 次に移ります。 井戸水に関してです。井戸水というか、地下水の塩害です。こちらの方は本当に深刻なんです。上水道を使うにしても、それから塩分を除去する浄水器をやったとしても、お金もかかりますし、従来とはまた使い勝手が違うと。十分な量を確保できないと。これはもう本当に考えなければいけないですよ。冠水した地域だから、少し農地に水が入ればだんだん塩分濃度が下がってくるだろうというふうなことで昨年は思ってたんです、沿岸部の皆さんは。しかしながら、圃場に水を張っても一向にこれは下がってこない。これはどういう問題なのかと。井戸を深く掘ったら塩分濃度は下がるんじゃないかといっても、深く掘っても出てくる。もう打つ手がないというか、そういう状況にあるんです。だからこそ、そういった沿岸部の園芸農家の皆さんにとっては死活問題なんです。そのあたり、いま一度、お願いします。 ○議長(中村功君) 農林水産部長山田義輝君。 ◎農林水産部長(山田義輝君) 今回の震災後の地盤が沈下したということもあり、今回の塩水化については非常に、要因も含めてまだわかっていないところがあり、重大な問題でありというふうに思ってございます。そういう意味で、原因究明については東北農政局が引き続きモニタリングを実施しながら原因を探っているということでございますけれども、それがそれでもとに戻るのかという問題はまた別な問題でございますので、そういう実態も踏まえて、先ほどもお答えしましたが、先端技術ということで、要は井戸水をくみ上げて使用しなくてもよいような生産というものと、あるいは今後地下水を使用しないでコストのかかるシステムを設計しなければいけないということに対する何らかの支援というものは、今後とも考えていかなければならないといういうふうに考えてございます。 ○議長(中村功君) 九番村上智行君。 ◆九番(村上智行君) お金かかるんです。負担も農家には強いることになります。そこはもう考えてほしいと思います。というか、考えてください。お願いします。 そして、最後ですが、事故繰りに関してなんですが、こちらの方は確かに簡素化はできて明繰りから事故繰りに行くようになりましたが、根本的なところは改善されておりません。これは、もう来年度も再来年度も足を引っ張っていくことになるはずです。そして、予算をしっかり確保していく。どこに使われているかわかんないような復興予算であって、そういうふうなところも不信感があるわけですから、そこはしっかり知事、最後もう一度、平時ではなく非常時の対応を頼むということをお願いして、私の質問を終わります。 ○議長(中村功君) 九番村上智行君。 ◎知事(村井嘉浩君) はい、おっしゃるとおりです。まずとりあえず緊急避難的、来年度の三月になってからパニックのような状態になるのは避けられたというふうに思っておりますが、恐らくこれから議員が御指摘になったようなことは次から次へと出てくるかというふうに思いますので、柔軟な対応をしていただけるように、しっかりと物を申していきたいというふうに思っております。きのうの十五の市町の首長と私も入った国との会議の席でもそのような意見は強く出ておりましたので、その都度、個別案件ごとにしっかりと対応をしたいというのが国の考え方でありましたので、問題点を早目早目に国に訴えかけてまいりたいというふうに思います。 ○議長(中村功君) 四十番本多祐一朗君。    〔四十番 本多祐一朗君登壇〕 ◆四十番(本多祐一朗君) 大綱四点にわたって、以下、質問させてもらいます。今の村上議員の質問と一部重なりますけれども、大事な問題でありますので、重ねて質問をさしていただきたいと思います。 まず、大綱一点目、東日本大震災からの復旧・復興をめぐる諸課題について伺います。 まず、住宅再建支援について伺います。 衆議院が十一月十六日に解散され、あす十二月四日公示、十六日投票で総選挙が行われることになりました。政局の混迷から、いずれは解散は避けられないと考えていましたが、しかし、この時期の解散・総選挙は、とりわけ被災地にとっては、今後の復旧・復興が更におくれることにつながらないか、当初予算の編成をいつになるのか、補正予算はどうなるのか、戸惑いは隠せないものがあると思います。 例えば、防災集団移転促進事業の対象外とされた津波浸水区域の住宅再建問題、防集区域と比べ国の支援制度はほとんどなく、その落差を埋めるため、被災市町は、被災者に対して独自の支援策を打ち出すなど苦心をしています。その財源には復興基金の活用を想定しているものがほとんどで、国からの大幅な特別交付税の追加交付がなければ、今後の復興事業は、早晩行き詰まると思われます。今日まで、県などからの働きかけによって、国では、復興基金の原資となる特別交付税の追加交付について前向きの姿勢を示し、昨日も平野復興大臣がお話ししていたようでありますが、かなりいい線まで来ているとは思います。残念ながら、今回の解散によって不透明な状況となりました。しかし、総選挙後の政権の形がどうなろうとも、この復興基金に対する追加交付は絶対に譲れない点であり、被災者や自治体がもうこれ以上待てない状況にあることを考えれば、一日も早い決定を国に強く働きかけていく姿勢を今後も継続することが必要だと思いますが、知事のお考えを伺います。 先日、石巻市で、災害危険区域外の住宅再建支援策として、上限六十万円の利子補給を行う独自支援策を打ち出したとの報道がありました。金額的には他の被災市町に比べ大分少ない支援額です。解散により、当面、国からの新たな財政支援を見込めないため、せっぱ詰まった状況の中で見切り発車した形であり、国からの支援があった場合には、再度支援額を見直すとのことであります。したがって、県としては、危険区域外の住宅再建支援に被災市町に大きな格差が生じないよう、最低限必要な支援額を明示して、国に強く当たるべきだと思いますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。 さて、住宅再建に対する独自支援にしろ危険区域の指定の仕方にしろ、被災市町の財政力や被害の大きさによって大きな格差が出ており、各市町とも大変苦慮しています。そもそも今回のような大規模な津波被害に対し現行法では対応できず、運用の改善などだけで対処しているのが現状であり、支援策を県や市町単位の判断だけにゆだねるのには限界があります。今回の東日本大震災を踏まえ、大規模津波被害や地盤沈下などに対応する新しい法律の制定あるいは現行法の抜本的改正を働きかけていくべきではないでしょうか。知事のお考えを伺います。 政府は、十一月二十七日、東日本大震災の復興予算の流用問題で、二〇一一年、一二年度予算のうち、十一府省三十五事業、百六十八億円分の執行を停止すると発表しました。しかし、復興予算のうち、被災地以外で使われたのは約二兆円に上り、遅きに失した、後の祭りといった感があります。この問題について知事はどのようにお考えか、改めて伺います。 政府が示した復興予算枠、十年間で二十三兆円、当初五年間十九兆円では、到底足らなくなると予想される中で、今回の流用です。少なくとも流用された二兆円分については、別途補てんして復興予算枠を拡大してもらう必要があると思いますが、今後の対応を含め、お伺いいたします。 次に、中小企業グループ補助金について伺います。 今回、国の予備費を活用した経済対策により、中小企業等グループ補助金に八百一億円が充てられ、そのうち五百五十億円が我が県に配分される見込みと伺っております。県の補助金と合わせて八百二十五億円の補正予算が今議会に提案されております。これはこの間、県、県議会、商工団体など挙げて要請活動を行ってきた大きな成果であり、これによって、被災した県内中小企業が数多く救済されることを期待します。この間、県では六次募集を見越して、被災中小企業の申請の相談にきめ細かく対応してきたわけですが、第六次募集の一回目の締め切りが十一月三十日になりました。応募したグループ、企業数、補助金の申請総額の状況をお知らせください。 また、今回六次募集で仮に交付を受けられない企業が発生した場合、県としての方針を伺います。被災した意欲ある県内の企業を最後の一社まで救済するという強い決意で臨んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 また、県単独事業である地域商業等事業再開補助金については、ことし六月の募集の際には、中小企業グループ補助金とのダブル応募を避ける企業が多く、予算枠の半分程度の応募にとどまったため、募集を中断していますが、仮にグループ補助金の交付から漏れた場合、この県単の補助金事業に再度期待が高まると思います。そうした場合、できるだけ早く機動的に募集を再開すべきと思いますが、今後の方針をお伺いいたします。 大綱二点目、農業の復旧・復興の課題について伺います。 まず、農地の復旧と圃場整備についてであります。 津波で被災した農地の復旧は、おおむね計画どおりに進んでいると思います。仙台市の場合、昨年度復旧して、ことし作付した五百ヘクタールの水田では、収穫の量も食味もできがよく、関係者は大変喜んでいます。ことしは九百ヘクタールの復旧に取りかかっており、これも工事はおおむね順調で、来年はより沿岸部に近い四百ヘクタールの復旧に取りかかります。 ここで、問題が出ております。津波で表土が奪われ、津波堆積物や瓦れきも刺さっているため、ことしは最大約十四センチほど削土--土を削りましたが、場所によっては砂地がむき出しになっており、このままでは作付しても作物は育ちません。そこで、仙台東部地区の場合は、ことしの復旧分として、色麻町や川崎町の粘土質を含んだ山土の土取場を確保して客土を行っています。しかし、それも今年度分までです。来年復旧に入る、より海岸に近い水田は、津波で表土は大きくさらわれ、穴のあいているところもあり、ことしの九百ヘクタールよりも、来年の四百ヘクタールの方が多くの客土が必要になると予想されています。水田に適した土の土取場の確保はこれからとのことであります。これは仙台に限らず、他の地域でも同じような状況にあるのではないでしょうか。土取場の確保について、県は今から準備を早急に進めるべきと思いますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。 次に、農地の復旧と圃場整備の工事の一体化についてお伺いいたします。 今述べましたように、できるだけ早く作付ができるよう、農地の応急復旧が進んでいます。そして、現在、単なる復旧ではない、将来を見越した生産性の高い農業を目指す圃場整備事業の合意形成が急がれています。これは、主にこれから復旧工事が行われる海岸線により近い農地についてでありますが、津波により大きく破壊され、表土もあぜもなくなり、水路も壊されています。この農地を一たんもとどおりに復旧させ、再度大区画の圃場整備の工事を行った場合、農業を再開してもすぐにまた休耕することになるのではないかと農家の方々から心配する声が出ております。二重投資によるむだを指摘する声もあります。 そこで、農地の復旧工事と圃場整備の工事を一緒にできないかという要望が出ております。もちろんこれは地域によって事情は違うし、何より集落の合意が大前提となりますが、こうした農家の要望にもこたえられるような工事の施工を柔軟に行うことを考えるべきではないでしょうか、お伺いします。 その際、復旧と圃場整備の工事を一緒にすることによって、被災農家経営再開支援金を受けられない事態も考えられます。受けられるよう改善すべきと思いますが、いかがでしょうか。 また、圃場整備の工事を秋の収穫後に着工し、翌春の作付に間に合わせる工事が望まれますが、それは可能なのかどうか伺います。 次に、被災地域農業復興総合支援事業、いわゆるリース事業についてお伺いします。 自治体が被災した集落営農組織や経営体にリースすることにより、格納庫や育苗用パイプハウスなどの農業施設、あるいはトラクター、田植え機、コンバインなどの大型の機械はそろうことになり、営農再開に期待が寄せられています。 そこで、集落営農組織や経営体にリースされる機械などによって、意欲ある農業者のすべてが活用できる体制になっているのかどうか、現状についてお尋ねいたします。 農業施設や大型機械については一応整備ができたとしても、農業再開に欠かせない五十万円以下の機械や備品、例えば播種機、苗箱、育苗機、催芽機、被覆材、飯米用のもみすり機などは、現行リース事業の対象外となるものもあります。復興交付金の効果促進事業で対応可能なのかどうか。あるいは、それが難しい場合、県単独でのリース事業や補助制度を創設できないのか、お伺いいたします。 被災した農業施設や農業機械の復旧に、最大四分の三まで補助を行う東日本大震災農業生産対策交付金は、農地が復旧し、これから需要が高まるときに大幅減となってしまいました。しかし、この交付金は、農業者組織や農協などが事業主体となった臨機応変な取り組みを引き続き支援するのに不可欠であると考えますし、これによって救われる農家は多いと思います。国への要望とその見通しはどのようになっているのか、お伺いします。 さて、被災農家を初め、農業の復興への懸命の努力が続けられている中で、その出鼻をくじくかのように、TPP参加問題がにわかに浮上しています。多分に政局絡みに利用されている面がありますが、しかし、復興の意欲に水を差す動きとして看過できません。TPPに参加した国の基準に照らして県が昨年十二月に行った試算では、県内の農畜産物の生産額は一千六十億円、約六割も減少するという、まさに県内農畜産業は壊滅的な打撃を受けると思います。このTPP参加問題に対し、農業県としての知事はどのようにお考えか、明確な姿勢を示すべきと考えますが、御見解をお伺いいたします。 大綱三点目、貞山運河再生・復興ビジョンについてお伺いします。 県は、東日本大震災において甚大な被害を受けた沿岸地域の復旧・復興に際して、津波減災効果の可能性がある歴史的な土木遺産、貞山運河を基軸に、各種の復興関連事業を一つのグランドデザインに沿って連携・展開し、安全安心でより魅力的な沿岸地域の形成を図るため、貞山運河再生・復興ビジョンの策定を進めております。十一月五日には、学識者などによる第一回目の検討座談会が開催され、年度内のビジョン策定に向け動き出しました。 貞山運河は、阿武隈川から旧北上川まで総延長約四十九キロにわたる日本一の運河であり、古くは舟運を目的として、江戸時代から建設が始まりました。現在では、利水や治水といった機能に加え、歴史、環境、景観などの魅力を有する歴史的な土木遺産でもあります。そして、被災した沿岸部七市三町を南北に貫く貞山運河は、今回の東日本大震災で大きく被災し、その復旧事業は、県及び被災市町の復興まちづくりのシンボルにもなり得る重要な事業であります。したがって、貞山運河の復旧事業は、単なる復旧にとどまらず、築造四百年を経た運河の歴史を次の百年あるいは四百年後の未来へとつなぐ新たな再生の取り組みであり、将来を見据えたビジョンの策定が求められると思います。そのためには、沿岸市町や関係行政機関、NPOに限らず、県民のさまざまな英知を結集することが必要ではないでしょうか。 例えば、貞山運河の近くに住む若林区の今回被災した住民の間では、大震災の前に閖上の行灯松から若林区井土浜の冒険広場まで十二隻の船を用意して運航するNPOを立ち上げる構想を、仙台市とも相談しながら進めておりました。憩いの場となる公園の整備や運河沿いに、松林だけでなく桜の木を初め広葉樹を植え、夜はライトアップして観光の名所にもするという計画です。行く行くは世界じゅうの運河の舟を並べて運航するという夢も思い描いていました。こうした構想に限らず、長年貞山運河の近くに住み、貞山運河を知り尽くしている被災した住民の中には、多くの夢やアイデアがあると思います。こうした運河沿川住民の意見を広く聴取する機会をぜひ設けていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 多くが被災者となっているこれらの方々に、復興や将来への希望を抱かせるようなビジョンにぜひしていただきたいと思います。 さて、大津波で外洋とつながった若林区の井土浦は、徐々に砂浜が戻り、ことしは水鳥も戻ってまいりました。自然の回復力には目を見張るものがあります。 そこで、貞山運河の復旧に際しても、環境や景観への配慮が必要ではないかと思います。戦後の工事で貞山運河をコンクリート護岸で固めた結果、それまで数多くいた魚が戻ってこない、シジミなどの貝類が育たなくなった、自然が失われたとの沿川住民からの指摘があります。市街地周辺や排水機場周辺など、安全上コンクリート護岸が必要な箇所は中にはあるとは思いますが、将来にわたる長期的な視点に立ち、自然生態系を考慮して、堤防護岸などにコンクリートをなるべく使わない石材、植生などの自然材料を極力多用するような自然工法を取り入れることが必要ではないでしょうか、お伺いします。 さて、貞山運河を親水空間あるいは観光資源として再生する際に必要なのは、安全面への配慮です。避難施設や避難道路の整備が不可欠だと思いますし、ビジョンに盛り込むべきと思いますが、いかがでしょうか。 また、貞山運河が津波からの減災に効果があったとの指摘があります。県では今後検証作業を行うとのことでありますが、その結果も踏まえ、また、地盤沈下や地球温暖化による海面の上昇も考慮して、堤防の改修に当たっては、震災以前よりも高さを高目に築く必要があると思われますが、お考えをお伺いいたします。 現在、貞山運河は治水にも利用されており、仙台市では四カ所の排水機場から内水を貞山運河に排水しています。大津波により、これら四箇所すべて甚大な被害を受けましたが、今は応急復旧しています。しかし、地盤沈下のため、排水能力が低下し、高砂南部、二郷堀の両排水機場は移設建設し、それぞれ二十五年度、二十六年度の完成を目指しています。他の二つの排水機場も能力アップを図る計画ですし、井土浦川排水機場の新設工事も間もなく再開されます。しかし、排水の受け皿となる貞山運河は、津波や震災の影響で、堤防や護岸施設は応急措置は施されているものの、ぼろぼろの状態であります。中長期の貞山運河復旧・復興ビジョンを踏まえつつも、こうした排水機場の完成に合わせて、堤防護岸の改修工事は急ぐ必要があると考えますが、いかがでしょうか。七北田川との合流地点の南閘門の改修と水門工事とあわせ、いつまでに改修する予定なのか、お伺いいたします。 最後に、大綱四点目、二次医療圏の見直しについてお伺いいたします。 第六次宮城県地域医療計画の中間案がこのほどまとまり、この中で、二次医療圏の再編案が示されました。それによれば、大崎と栗原の二つの医療圏を一つにくくること、石巻、登米、気仙沼の三つの医療圏を一つの医療圏に再編するというものです。これに対し、気仙沼、栗原の両市及び医療関係者らから、単独の二次医療圏維持を望む声が強く上がっております。 そこで、今回見直し案をまとめるに至った九月十四日開催の第二回県地域医療計画策定懇話会の議事録を読ませていただきました。懇話会では、まず、気仙沼医療圏について、関係者の合意が得られておらず、単独での医療圏が妥当との意見がむしろ多数であったにもかかわらず、座長の半ば一方的なまとめで、石巻、登米、気仙沼の三医療圏統合案が取りまとめられたとの印象をぬぐえません。栗原医療圏についても、厚労省の基準では再編の対象とならず、また栗原市等の合意が得られていないため、現状維持が妥当との意見があったにもかかわらず、必ずしも理由が明確でないまま、同様に、大崎、栗原の統合案がまとめられたとの感があり、読んでいても、釈然としないものがありました。 二次医療圏については、医療法第三十条の四で規定されており、その施行規則では、特殊な医療を除く一般的な医療サービスを提供する医療圏で、地理的条件などの自然的条件及び日常生活の需要の充足状況、交通事情などの社会的条件を考慮して、一体の区域として病院における入院に係る医療を提供する体制の確保を図る単位として設定することと規定しています。これを念頭に置いて、また、気仙沼、栗原両市から再編案への反対要望書が提出されておりますので、これに沿って、以下、質問いたします。 まず、気仙沼医療圏についてですが、地理的条件としては、気仙沼医療圏は、御承知のように、南北に長く、気仙沼市最北端小原木地区から石巻日赤病院まで約九十キロメートルもあります。気仙沼市街地からでも一時間半から二時間はかかります。しかも、気仙沼市には東北地区最大の有人離島、大島があります。また、県境地域のため、岩手県からの患者を受け入れたり、周産期や小児医療などで、気仙沼市立病院を除き、対応できる医療機関がないなど、特殊事情もあります。三陸自動車道が気仙沼まで到達するのに少なくともあと五年はかかるのではないでしょうか。したがって、現時点で高速交通体系を前提とした石巻医療圏との連携は現実的ではないと考えますが、いかがでしょうか。 また、気仙沼市からの患者移動に要する大幅な時間短縮は見込めないため、石巻赤十字病院の高次医療機能の強化が仮に図られたとしても、高次医療の仙台医療圏への依存傾向は変化がないと思われますが、いかがでしょうか。 さて、厚労省が今回初めて示した二次医療圏再編の基準、すなわち人口二十万人未満、入院患者流入率二〇%未満、流出率二〇%以上のいずれも三つが該当すれば再編対象にするという基準自体に私は疑問を感じるものですが、しかし、今回、県の二次医療圏見直しの前提とされた宮城県患者調査は、東日本大震災からわずか十カ月後に行われたものであります。多くの医療機関が被災し、住民も隣接市の仮設住宅で多くの方々が生活しているときの調査です。気仙沼医療圏の患者の流入・流出は平常時と大きく異なっていたのではないでしょうか。例えば、南三陸町から三六%が登米医療圏に、二八・六%が石巻圏に流出しています。こうした調査結果をもって今後五年間にわたる地域医療計画の基礎資料とすることは、適切とは言えないのではないでしょうか。ちなみに、前回、平成十八年の患者調査では、流入率は七・三%に対し、流出率は一五・七%と、再編対象から外れることになります。 次に、気仙沼市立病院の機能低下につながらないかという問題です。 御承知のとおり、気仙沼市立病院は、既に新病院建設事業を進めており、病院機能、建物面積、施設配置などの概要が確定しつつある段階です。今回の医療圏再編によって医療機能が変更されれば、施設整備内容や病院経営に重大な影響を及ぼすことにならないでしょうか。また、感染症病床の設置や、地域がん拠点病院の指定の困難化、医療機能の低下による医師確保への支障をもたらすようなことがあってはならないと思いますが、いかがでしょうか。 また、今回の中間案では、気仙沼市立病院の整備費に、県から財源措置として九十六億円の地域医療再生基金を充てるとのみ記載されています。しかし、ことし二月に策定した県地域医療復興計画では、この九十六億円に加え、他財源と合わせて百二十億円とされておりましたが、この部分の記載が抜けております。これは、県としては気仙沼市立病院の整備計画の縮小を考えていることを意味するのか、お伺いいたします。 次に、栗原医療圏についてです。 まず、地理的自然的条件として、栗原市は中山間地を抱える県内一の面積を有し、二次医療圏を考える場合には、こうした自然環境などの地理的条件、交通事情などの社会的条件を勘案することが必要だと思います。また、平成二十年の岩手・宮城内陸地震、そして昨年の東日本大震災と、二度の大震災からの復旧・復興の途上にあります。そうした中で、県も認めているように、栗原医療圏は栗原中央病院を中核病院として機能強化を図ってきているなど頑張っている地域でもあり、国の言う再編対象にも該当しません。栗原市では、見直しの理由も十分示されないまま、見直しを行うことは理解できないと反発を強めています。これに対し、県としてはどのようにおこたえするつもりか、お伺いします。 いずれにしても、宮城県は今、東日本大震災からの復旧・復興の途上にあります。国では、被災三県については二次医療圏見直しの例外として扱うことを認めており、岩手、福島両県は見直しを行わない方針と聞きます。見直しは最小限にとどめ、少なくとも納得をしていない気仙沼、栗原の医療圏については、今後の医療復興やインフラ整備を見きわめ、第七次計画で改めて検討するといった柔軟な姿勢が必要ではないでしょうか。気仙沼医療圏は、医師会もこのことを強く求めていますが、知事のお考えをお伺いいたします。 また、まだ中間案の段階です。最終案を固める前に県民の意見を広く聞くことになると思いますが、特に、市町村長や地域の医療関係者などの意見を十分に聞く機会を設け、県民の命や健康に責任を持てる医療計画にしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか、お伺いいたしまして、壇上からの質問とさせていただきます。 御清聴ありがとうございました。 ○議長(中村功君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 本多祐一朗議員の一般質問にお答えいたします。大綱四点ございました。 まず、大綱一点目、住宅再建支援についての御質問にお答えをいたします。 初めに、復興基金への特別交付税の追加交付についてのお尋ねにお答えをいたします。 被災者の住宅再建に対する各市町の独自支援につきましては、自力再建を促進し、復興まちづくりを進める観点から喫緊の課題であると認識し、かねてよりさまざまな場面で、国に対しその財源措置を要望してまいりました。国からは要望を踏まえ、検討するとの見解をいただいておりましたが、十一月三十日に示されました政府の日本再生加速プログラムでは、今後決定する経済対策第三弾の本格補正としてこの趣旨が盛り込まれたところであります。今後、特別交付税の予算措置と追加交付が早急に実現するよう、引き続き国に強く働きかけてまいります。 次に、必要な額を明示して国に働きかけるべきではないかとの御質問にお答えをいたします。 国への要望に当たっては、被災地の実情をより具体的に訴えることが重要であると認識しているところであります。これまでも国に対しては、平均的な住宅ローンの利子、移転費用、かさ上げ工事費など、現実に生じている被災地における住宅再建費用について、市町とともに具体的に説明してきたところであり、今後も具体化に向けて強く働きかけてまいります。 次に、大規模災害に対する新法の制定や現行法の抜本的改正を働きかけていくべきではないかとの御質問にお答えをいたします。 現行の法制度においては、今回の東日本大震災のような大規模で長期的な対応が必要となる災害を想定しておらず、その限界が指摘されております。このようなことから、国においては、例えば災害対策の分野においては、災害からの復興の枠組みなどを含め、防災に関する制度のあり方について、所要の法改正を含む全般的な検討を加え、その結果に基づいて、速やかに必要な措置を講ずることとしております。 我が県といたしましては、震災からの復興を着実に進めていくため、既存の制度の枠組みにとらわれない法制度の創設や柔軟な制度運用、財源の確保が必要であり、国に対し、災害危険区域外の住宅再建に係る財政支援など、さまざまな提案、要望を行ってまいりました。今後とも、被災地が抱える諸課題の解決を図るため、市町と連携して国に働きかけてまいります。 次に、復興予算が被災地以外で使われたことについての所見はどうかとの御質問にお答えをいたします。 被災地の復興のためには多額の復興予算を必要としている状況にあり、また、その財源を国民の皆様に増税という形で御負担いただいていることから、被災地の復興と関連性の薄い事業に復興関連予算が使用されていたことは遺憾なことであると考えております。先月二十七日の国の復興推進会議で決定された今後の復興関連予算に関する基本的な考え方では、被災地の復旧・復興及び被災者の暮らしの再生のための施策に限ることを基本とすることとしており、県といたしましては、この決定が厳格に運用されるものと考えております。 次に、復興予算枠を拡大すべきとの御質問にお答えをいたします。 今回、国が示した基本的な考え方では、今後の被災地向け予算に係る事業の実施に支障を来さないよう、所要の財源を適切に見込むこととしております。また、それにあわせて、復興財源フレームを含めた東日本大震災からの復興の基本方針についても、これまでの被災地の状況の変化などを踏まえた必要な見直しを、平成二十五年度予算編成とあわせて行うこととしており、復興に必要な予算枠が確保をされることを期待するところであります。県といたしましては、復興を加速させるためにも、この基本的な考え方が堅持され、必要かつ十分な予算が確保されるよう、今後とも国に対してしっかりと求めてまいります。 次に、大綱二点目、農業の復旧・復興の課題についての御質問のうち、TPP参加問題に対する見解についてのお尋ねにお答えをいたします。 TPPへの参加につきましては、農林水産業に大きな影響を及ぼす可能性がある一方で、製造業の国際競争力維持に寄与するとの見方もあるなど、私たちの生活のさまざまな分野に影響を与えることから、国において必要な情報を国民に示し、議論を深めていくことが必要だと考えております。特に被災地の復興に支障を来すことがないよう、農林水産業に携わる方々はもちろんのこと、被災地のさまざまな意見に十分耳を傾け、しっかりとした説明や情報提供を行った上で広く国民的な議論を尽くすよう、全国知事会などを通じて国に対して働きかけているところであります。 TPPの参加問題については、国が被災地の要望も含めさまざまな意見をよく聞いた上で、責任を持って国益にかなう判断を下していただきたいと考えております。 次に、大綱三点目、貞山運河再生・復興ビジョンについての御質問のうち、ビジョンの策定における意見聴取についてのお尋ねにお答えをいたします。 県では、東日本大震災により甚大な被害を受けた沿岸地域の復旧・復興に際し、歴史的な土木遺産である貞山運河を基軸として、より魅力的な沿岸地域の復興を図るため、沿岸域で展開される各種復興事業を束ね、そのグランドデザインとなる貞山運河再生・復興ビジョンの策定を進めております。策定に当たっては、学識者等による座談会を実施しており、今後、ビジョンの骨子や素案に対して御意見をいただきながら作業を進めていくこととしております。また、国、県、市町との調整を行うほか、貞山運河にかかわりのあるNPO法人を初め、関心のある多くの方々から御意見をいただく機会を設けるなど、広く意見聴取を行うよう努め、今年度内にはビジョンを策定してまいります。 次に、大綱四点目、二次医療圏の見直しについての御質問にお答えをいたします。 初めに、医療圏再編の見直しを最小限にとどめ、気仙沼と栗原の医療圏については、第七次計画で再検討してはどうかとのお尋ねにお答えをいたします。 第一回の地域医療計画策定懇話会においては、ことし一月に実施した宮城県患者調査の結果を踏まえ、入院患者の流出率が半数に近い登米医療圏を中心とした二次医療圏再編の必要性が方向づけられました。また、再編に当たっては、国から示された見直し基準が一つの目安とはなるものの、市町村長や地域の医療関係者の意見が重要であることから、あらかじめ再編案に関する御意見を伺い、第二回懇話会において議論を行ったところであります。地元関係者と懇話会でも、ともに賛否が分かれましたが、懇話会としては、中長期的な視点で、より広域的に二次医療圏をとらえ、震災からの復興も含め、限られた医療資源を最大限有効に活用するという観点から、地域の医療体制を整備する必要性が重視され、今回の再編の方向性が示されたものであります。その後、第三回懇話会及び医療審議会においては、気仙沼市、登米市、栗原市からいただいた要望書を踏まえ、更に議論を行いましたが、医療圏再編の方向づけは変わらなかったことから、現在、パブリックコメントを実施している計画の中間案については、七医療圏を四医療圏に再編する前提で策定をしております。 次に、最終案策定に当たり、市町村長や地域の医療関係者等の意見を十分に聞く機会を設け、県民の命や健康に責任を持てる医療計画にすべきとの御質問にお答えをいたします。 医療審議会の議論の中でも、広域化の必要性は認めるものの、再編によって地域の医療機能が低下することはあってはならないという強い御意見をいただいております。 県といたしましては、引き続き関係自治体の皆様に対し丁寧に説明を行い、更なる御意見を十分いただきながら、現在実施中のパブリックコメントにおいて、県民の皆様から寄せられる御意見も踏まえた上で、再編の対象となる地域の皆様や医療関係者に安心感を持っていただけるような計画にしてまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○議長(中村功君) 保健福祉部長岡部敦君。    〔保健福祉部長 岡部 敦君登壇〕 ◎保健福祉部長(岡部敦君) 大綱四点目、二次医療圏の見直しについての御質問のうち、現時点での気仙沼医療圏と石巻医療圏との連携についてのお尋ねにお答えいたします。 今回の気仙沼医療圏の再編につきましては、必ずしも三陸縦貫自動車道の整備見通しのみを前提としたものではなく、南三陸町の入院患者の動向なども総合的に勘案したものでございます。震災後、南三陸町の入院患者は、一層登米市民病院や石巻赤十字病院に流出しており、公立志津川病院の再建が数年先であることや、第六次地域医療計画期間中に三陸道が南三陸町まで整備される見込みであることなどを踏まえますと、気仙沼地域と登米、石巻両地域との機能分担と連携の必要性は、今後一層増していくものと考えております。 次に、気仙沼地域の高次医療の仙台医療圏への依存傾向についての御質問にお答えいたします。 御指摘のありましたとおり、三陸縦貫自動車道の現在の整備状況を前提といたしますと、気仙沼地域における高次医療の仙台医療圏への依存傾向に大きな変化はないものと思われます。しかしながら、機能強化が図られます石巻赤十字病院との連携強化とともに、第六次地域医療計画の期間中に南三陸町までの延伸が見込まれます三陸道の整備の進捗に比例いたしまして、現在の仙台医療圏への依存傾向が一定程度、石巻医療圏にシフトしていくものと考えております。 次に、平常と大きく異なると思われる県の患者調査を地域医療計画の基礎資料とすることは不適切ではないかとの御質問にお答えいたします。 ことし一月に実施しました宮城県患者調査の結果につきましては、被災後十カ月の時点における調査でございますため、震災の影響がある程度反映されていることは否定できませんが、まちづくりを前提とした地域の病院や診療所の復旧・復興に相当程度の時間を要することを踏まえますと、今後、より広域的な視点で考えていく必要があることから、この時点の調査結果を採用することはやむを得ないものと判断してございます。 次に、気仙沼市立病院について、医療圏再編により医療機能が変更されれば、施設整備や病院経営等に影響を及ぼすのではないかとの御質問にお答えいたします。 気仙沼地域につきましては、地理的、歴史的な背景を考慮いたしますと、今後とも、拠点病院を核とした相当程度の医療提供体制の整備が必要と認識しております。 県といたしましては、気仙沼市立病院の移転、新築整備に当たりまして、地域医療再生基金を活用した財政支援を引き続き行いますほか、東北大学と連携した人員配置につきましても更に強化してまいります。 次に、気仙沼市立病院の整備費についての御質問にお答えいたします。 今回の中間案において、気仙沼市立病院の整備費につきましては、地域医療復興計画で確定しております地域医療再生基金充当額九十六億円のみを記載してございます。他の財源といたしましては、医療施設耐震化基金を見込んでおりますほか、一部の財源につきまして復興交付金の対象となるよう、国に要望してきております。県といたしましては、他の財源と合わせて百二十億円の財源が確保できるよう、引き続き努めてまいります。 次に、栗原市が栗原医療圏の見直し案に強く反発していることへの対応についての御質問にお答えいたします。 栗原医療圏につきましては、二次医療圏が一般的に複数の市町村で構成されること、中長期的に更なる人口減少が見込まれること、国の見直し要件に該当していない流入率には高度・専門医療を提供する宮城県立循環器・呼吸器病センターへの流入患者が数多く含まれていることなどを背景といたしまして、限られた医療資源を有効に活用する観点から、大崎医療圏との再編が方向づけられたところでございます。 ただし、栗原中央病院につきましては、医療圏再編後におきましても、栗原地域の中核的医療機関として引き続き体制整備を図ることといたしておりまして、県といたしましては、今後移転新築し、機能強化を図ります大崎市民病院との機能分担、連携をより一層推進することにより、両病院を核として再編後の医療圏全体を支える体制づくりを支援してまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(中村功君) 経済商工観光部長河端章好君。    〔経済商工観光部長 河端章好君登壇〕 ◎経済商工観光部長(河端章好君) 大綱一点目、復旧・復興をめぐる諸課題についての御質問のうち、中小企業グループ補助金についてのお尋ねにお答えいたします。 十一月三十日に締め切りました第六次募集の第一回目の応募状況につきましては、現在、申請書の内容の確認を行っているところでございますが、速報値でございますが、八十九グループ、千六百十九者から応募があり、補助要望額の合計は約七百九十三億円となってございます。 次に、第六次募集で不採択となった企業への対応方針についての御質問にお答えいたします。 県では、今回の第六次募集の実施に当たり、新たに特別相談期間を設けて、グループの組成や復興事業計画の策定などについて事業者へのアドバイスを強化するなど、一つでも多くのグループを採択することができるように努めているところでございます。また、県では、本事業の継続を国に要望してきたところでございまして、国も来年度予算の概算要求において事項要求を行っているところでございます。第六次募集の結果、採択できなかった事業者につきましては、国の予算化が図られるよう、引き続き要望をしてまいります。 次に、地域商業等事業再開支援補助金の募集再開時期についての御質問にお答えいたします。 地域商業等事業再開支援補助金の募集につきましては、現在、グループ補助金の募集を行っている最中であることから、その結果が出る二月以降できるだけ早い時期に次回の募集を行いたいと考えてございます。 なお、募集に当たりましては、周知期間及び申請受付期間を十分に設け、より多くの事業者の方々が本制度を活用できるよう配慮してまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(中村功君) 農林水産部長山田義輝君。    〔農林水産部長 山田義輝君登壇〕 ◎農林水産部長(山田義輝君) 大綱二点目、農業の復旧・復興の課題についての御質問のうち、農地復旧における客土材の確保についてのお尋ねにお答えいたします。 これまで県が実施した農地復旧では、津波堆積土と微細瓦れきを分別し、客土材として有効利用するなど、客土材についてはおおむね順調に確保されております。しかし、これから農地復旧を行う沿岸部では表土の流出が著しい地域もあり、大量の客土材が必要になると見込んでおります。このため、これまでの津波堆積土の有効活用に加え、本年九月に設置された震災復興に伴う盛土材連絡調整会議を活用しつつ、例えば、防災集団移転促進事業による移転先の農地の撤去表土の活用など、客土材の材質にも考慮しながら、必要量の確保に努めてまいります。 次に、農地復旧と圃場整備の工事を一緒に行うべきとの要望についての御質問にお答えいたします。 農地復旧については、一日も早い営農再開を目指し、農地・農業用施設の復旧・復興ロードマップに基づき、これまでに対策が必要な農地面積一万三千ヘクタールのうち、約七割の農地に着手いたしております。一方、圃場整備については、みやぎの農業・農村復興計画を踏まえ、競争力のある経営体の育成と、市町の復興計画の実現に必要な公共用地の創出や、防災集団移転促進事業による住宅跡地の集積・再配置など、土地改良換地制度を活用した土地利用の整序化を目的として、被災被害が著しく未整備の農地を中心に約四千ヘクタールで計画しているところであります。今後、地域の関係者の意向を踏まえ、早期の営農再開と圃場整備の計画的実施の両立を図りつつ、農地復旧と圃場整備の一体化実施についても十分に考慮して進めてまいります。 次に、農地復旧と圃場整備の工事を一緒に行った場合にも経営再開支援金を受けられるようにすべきとの御質問にお答えいたします。 被災農家経営再開支援事業は、復興組合の組合員が共同で行う除草やガラス片除去などの復旧作業に対して助成を行うものであります。除塩や圃場整備の工事が始まれば、復興組合員が圃場に入って作業を行うことは困難となります。したがって、圃場整備の進展を図りながら、相互の作業区域や期間を調整することにより、可能な限り経営再開支援金が受けられるよう、市町を指導助言してまいります。 次に、圃場整備工事の秋の着工についての御質問にお答えいたします。 県は、復興交付金により圃場整備を行う計画であり、現在の計画では平成二十七年度までに事業を完了する必要があることから、基本的に、年間を通じ切れ目のない工程で工事を進める必要があります。一方、地域では、早期の営農再開に対する要望があることから、県としては、地域の関係者等と引き続き調整を行い、可能な限り前倒しで営農再開ができるよう、最適な工事の実施計画を実現してまいります。 次に、被災地域農業復興総合支援事業は、意欲ある農業者のすべてが活用できる状況になっているのかとの御質問にお答えいたします。 当事業は、担い手の育成・確保及び早期の営農再開を支援するため、被災市町が農業用機械・施設を、認定農業者や集落営農組織及び農業生産法人など、復興の担い手となる経営体に貸し付ける事業であります。事業の実施に当たっては、意欲ある農業者が担い手として位置づけられるよう、各市町が事業計画を作成いたしますが、認定農業者などの個別経営体を中心として営農を再開しようとしている市町や、効率的な営農を目指して集落営農組織等に集約している市町など、地域の実情に応じて取り組まれているものと認識しております。 次に、被災地域農業復興総合支援事業における五十万円以下の機械や備品導入についての御質問にお答えいたします。 被災地域農業復興総合支援事業は、主要な農業用機械・施設の導入を基幹事業で実施し、その効果を増大させるために必要な事業又は事務を効果促進事業で実施するものであります。基幹事業の対象は五十万円以上の機械・施設ですが、効果促進事業は、営農再開を目的に使用する機械や備品であれば、五十万円に満たないものでも事業対象となっております。 県といたしましては、今後とも意欲ある農業者の営農再開に向け、市町の本事業の活用について支援してまいります。 次に、東日本大震災農業生産対策交付金の国への要望とその見通しについての御質問にお答えいたします。 この交付金につきましては、今年度、国において二十九億円が予算措置されており、我が県においても、共同利用施設の復旧や営農再開に必要な機械等の導入を支援してきております。 県といたしましては、今年六月及び十月の政府要望において、十分かつ確実な予算措置を行うよう強く要望してきたところであります。国の平成二十五年度概算要求額は百四億となっており、事業要望に合わせて対応していただけるものと考えております。 私からは、以上でございます。 ○議長(中村功君) 土木部長橋本潔君。    〔土木部長 橋本 潔君登壇〕 ◎土木部長(橋本潔君) 大綱三点目、貞山運河再生・復興ビジョンについての御質問のうち、護岸工事における工法についてのお尋ねにお答えいたします。 貞山運河は、東日本大震災によって堤防や護岸が大きく被災し、現在、災害復旧事業による施設計画の策定を進めております。策定に当たっては、貞山運河の歴史的な位置づけ等を考慮し、地域にふさわしい整備のあり方を検討していかなければならないと考えております。このため、今後策定する貞山運河再生・復興ビジョンの基本コンセプトを踏まえ、自然石を活用するなど、環境や景観等にも配慮した工法の採用について学識者などの意見を伺いながら検討し、実践してまいります。 次に、貞山運河の再生に当たっての避難施設や避難道路の整備についての御質問にお答えいたします。 貞山運河は、震災前から貴重な土木遺産としてさまざまな利活用策の検討が行われてまいりましたが、震災後の各市町の復興計画においても、運河の利活用や地域振興を図るための集客機能の導入が期待されているところであります。一方、大津波で甚大な被害を受けた沿岸域においては、防災上の観点も復興計画における重要なテーマであり、ビジョン策定に当たっては、これらを十分考慮し、各市町の防災計画等を踏まえ、避難施設や避難道路のあり方について検討してまいります。 次に、貞山運河の堤防整備についての御質問にお答えいたします。 貞山運河は、今回の大津波の遡上を遅延させ、また、津波の戻り流れを集約したことで、一定の減災効果があったとの専門家の見解がございます。このことについて、県では科学的な検証を行い、津波減災効果を踏まえた運河の多面的な機能を復興に生かしてまいりたいと考えております。貞山運河の災害復旧事業においては、地盤沈下によるかさ上げ復旧のほか、比較的発生頻度の高い津波、いわゆるレベル1津波を対象として堤防等を整備することとしており、これにより、従前よりも貞山運河の防災機能が増強されるものと考えております。 次に、貞山運河の改修予定についての御質問にお答えいたします。 貞山運河の堤防及び護岸の改修、七北田川との合流地点である南閘門の改修のいずれも、排水機場の整備と整合を図りながら、平成二十七年度までの完成を目標に整備を進めてまいります。 以上でございます。 ○議長(中村功君) 四十番本多祐一朗君。 ◆四十番(本多祐一朗君) 再質問さしていただきます。 まず、住宅再建支援についてですけれども、選挙で、こういう一定の方向は今の政府からは示されてるわけですけれども、選挙後もどういうふうになるかまだわからないということもありますし、それから、まだ公式の場で復興大臣が金額を発言しているわけではないということでありますので、被災者にとってはぬか喜びみたいな形になってしまったのでは、非常にうなくないと思うんですね。県としてもいろいろと根拠を示しながら要望しているということなんですが、最低これぐらいは必要なんだということを引き続き強く訴え続けていくと。政権が仮にかわったとしても、絶対にこれは譲れませんという強い立場でやっていただきたいというふうに思いますけれども、改めて伺いたいと思います。 ○議長(中村功君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 十一月二日に復興大臣に要望した際には、私としても、大体これくらいが必要だと考えているという数字は当然述べました。ただ、私がそういう数字を言ったということで数字が出ると、またその数字がひとり歩きしてもいけないということで、数字は私も非常に慎重に取り扱っているということであります。きのう、大臣が、記者のぶら下がりではありますけども、私見という形で言ったということは、非常に重いというふうに受けとめておりまして、その数字は大体我々が考えていた数字と近い数字であったというふうにとらえております。したがいまして、次どういうところが政権担うかわかりませんけれども、ひとつこれが大きなベースになることは間違いないだろうというふうに思ってまして、これより後退することは絶対ないだろうと、これより更に上積みすることは十分可能性としてあるというふうに、私はそう信じております。 ○議長(中村功君) 四十番本多祐一朗君。 ◆四十番(本多祐一朗君) ぜひ、上積みしていただけるように頑張っていただきたいというふうに思います。 それから、二次医療圏の見直しの関係なんですが、先ほども質問はしましたけれども、これから五年間の基礎資料とするには、被災して混乱状態にあるときのものをデータとして採用するというのはいかがかと思うんですね。病院も診療所も壊れてましたし、したがって、結局受け入れる先としては近隣の病院しかなかったわけですね、近隣市町の。しかも住民も仮設住宅が隣接の市町にいるというような状況ですので、これらを考えると、これから五年間のうちに復興していくことを更に考慮すれば、そこまで考慮した上での医療計画にしなきゃならないだろうというふうに思うんです。そのことが、例えば復興をこれから行っていくんだというときに、励みにもなっていくんじゃないかと思うんですよ逆に。そこまで復興さしていくということは。だから、そこを考慮すべきだし、それから、被災三県は例外として扱っていいってなってるんですから、あえてそんなに急ぐ必要は何であるのかということを改めて伺いたいと思います。 ○議長(中村功君) 保健福祉部長岡部敦君。 ◎保健福祉部長(岡部敦君) 懇話会なり医療審議会でもさまざまな意見は出たところでございますけれども、それらの意見のもとに集約化された総論といたしましては、こういった震災からの復興も含めて、非常に限られた医療資源という状況の中で、復興なりを果たしていくについても、より広域的にその資源を最大限有効活用して機能連携なり分担をしていかないと、それは先送りするのは簡単なんですけれども、現状でも例えば登米圏域においては周産期とか小児とか、本当に厳しい状況が前回の医療圏の計画の際からもあったわけでございまして、そういったことを見過ごすことではなくて、今後の医療復興ということも含めて、より広域的に医療圏の設定そのものは、それぞれの地域の医療機能低下をさせるためではなくて、より広域的に機能を分担し、連携して全体として底上げをするために、医療圏をより広域化するということでございます。そのために、例えば復興の際につきましては、既に昨年の五月から九月にかけて、地域医療の復興の方向性ということで、地域の中核的な病院となる石巻市立病院とか志津川病院とか気仙沼病院については最大限の配慮をして、医療再生計画の三百九十四億のうち三分の二相当の資金を重点的に配分するということでやっているわけでございまして、そういった方向性については、今回の医療圏の見直しがあったとしても全く変わらない。しっかりとそこは地域の病院の機能を充実させ、医療の資源の配置等々についても医療界挙げて取り組んでいくというふうな中での議論でございますので、御理解をいただければというふうに思います。 ○議長(中村功君) 四十番本多祐一朗君。 ◆四十番(本多祐一朗君) 各医療圏の底上げをしていただけるということは、これはぜひやってもらいたいと思いますが、少なくとも気仙沼と栗原の市担当者、病院関係者、医師会、この合意と理解は必要じゃないですか。 ○議長(中村功君) 保健福祉部長岡部敦君。 ◎保健福祉部長(岡部敦君) これまでも私自身も首長さんのところとか回っていろいろ意見を聞かせていただいておりますし、今後も引き続き最終的な審議会での決定まで御意見をいただき、意見交換をさせていただいて、しっかりと皆さんが安心していただける計画になるように努めてまいりたいと思っております。 ○議長(中村功君) 暫時休憩いたします。    午後零時十分休憩-----------------------------------    午後一時十一分再開 ○副議長(佐々木征治君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。十九番只野九十九君。    〔十九番 只野九十九君登壇〕 ◆十九番(只野九十九君) 通告に従い、大綱二点について質問いたします。 大綱の第一点目、東日本大震災の復旧工事における問題点について伺います。 九月の全国ニュースで、三・一一の大震災によって引き起こされたと思われる石巻市北上地区長尾工区の水稲の塩害被害を放映していました。原因は、北上川の支川と皿貝川との合流点にある白浜第一水門が、東日本大震災で七十四センチの地盤沈下が発生したため、大潮等の潮どめゲートを越えた海水が皿貝川を逆流して、川の塩分濃度が基準値を大きく上回り、この水を取水していた農地が塩害に遭ったと報じていました。 また、さきの九月議会では、県に対して、石巻市渡波地内の地盤沈下により浸水した六十九カ所、百六十七台の排水ポンプの多額の電気料金を含めた維持管理への助成について質問がなされました。県の答弁は、公共下水工事施工の地域であれば国の補助があり、費用については市町村が見るとの答弁でありました。また、震災による地盤沈下が著しい地域で住民の間から盛り土による住宅地かさ上げの要望が強くあっても、私有地財産の形成を補助することはできないという理由から、土地区画整理事業団地や水産加工施設の集積地など、ごく一部を除けば国の支援措置は存在しないということでありますし、大規模ではなくても地区住民とともに防災集団移転促進事業で高台移転し、住宅再建をしようとしたが、あらかじめ災害危険区域に指定されることが前提であり、この指定がなされていないために、集団移転計画はなかなか進まないとの話でありました。災害危険区域除外の基準の中に、レベル1で想定している百年に一度の津波であれば浸水被害が起こらないというのが、基準の一つになっていると聞きました。 今回の大震災の津波で家屋が全壊したとしても、県の復興計画で示されている防潮堤の計画高や県管理河川の復旧計画高などで災害危険区域の除外になり、なおかつ、各市町村の復興地域の指定になっていない場所では、今後どのようになっていくかわからないとの話を聞きますし、さきにお話ししましたが、県は、南三陸町に示した県管理河川の整備方針で、発生頻度の高い津波から住民の生命、財産、産業経済活動を守るために、南三陸町内の県管理河川の津波防御方式は堤防方式を基準とするとし、水門方式は大規模地震時の水門操作の確実性が担保できないことや、堤防を高くすることで洪水や高潮への対応が期待できるからとの方針を述べておりました。 直接、海に河口を持つ県内の河川は、今回の被災地の中に全部で幾らあるのかわかりませんが、南三陸町の市街地を流れる三つの河川に示した河川整備の方針は、県内全部の県管理の、海に河口を持つ河川に適用されるものなのか。また、前に述べました石巻市北上地区の長尾工区の水稲の塩害問題は、国管理の北上川の支川の皿貝川の問題であります。この国管理の河川からの支川、特に河口から近い場所の県管理河川に対する津波対策の考え方は別なのか。また、国管理河川のレベル1程度に耐える河川堤防高は示されていると思いますが、この高さでの支川に対する県の整備の考え方などはできているのでしょうか、お聞かせください。 次に、今回の大震災の地震に伴う地盤沈下で、県内では多くの海抜ゼロメートル地帯が出現したと思われます。県土全体では、地震前と比べてどの程度ふえているのか。どのくらいになったのか。また、農地ではどの程度ふえて、どのくらいになったのでしょうか、お知らせください。 この地盤沈下の問題では、とりわけ今回の沈下で海抜ゼロメートル地帯になったところでは、今も、今からも、さまざまな問題が出てくるのだろうと思います。水稲を中心とした農地では、海抜ゼロメートル以下での排水作業の維持費の増大や農地の地盤沈下による塩分を含んだ地下水の水位上昇の問題など、そして、作付することの適性を含めて農地として将来のあり方を考えなければいけないと思いますし、この農地や排水機場や排水作業などを管理する地元土地改良区に対する支援などであります。また、地盤沈下により海抜ゼロメートルになり、家の被害は少ないが高潮や大潮や大雨などのために恒常的に排水ポンプを使用しなければならない地域の将来のあり方について、地盤沈下した場所で盛り土をして住もうと考えている人たちに対する、現行制度では対象とならない土地への補助制度の創設などを考えていないのかなどについてお聞かせください。 更に、下水道の復旧でありますが、この地盤沈下に遭った地域での下水道は、すべて国道、県道、市道の下に埋設されているはずでありますし、恐らく、この道路は最低限沈下分若しくはそれ以上に道路のかさ上げをするはずでありますが、下水の終末処理場の復旧は何となくイメージとしてわかるのですが、地盤沈下した道路の下の下水道管の復旧はどのような方法をとるのか。あわせて、地盤沈下した被災地域で盛り土をして地域の復興をなす場合、その地域での下水道の復旧、そして新設は、どのように考えたらよいのかについてお聞かせください。 次に、さきの九月議会において、同僚の長谷川敦議員の汚染稲わらの最終処分場整備がおくれた場合の対応についての質問に対する答弁で、汚染稲わらについての住民説明会で、処理が行われるまでの一時的な保管期間を二年間と説明し御理解をいただいてきたので、県としては、県民の不安を一刻も早く解消するために、焼却炉などの中間処理施設と最終処分場について整備がおくれることのないよう、国が責任を持って行うよう要請すると話しておりましたが、登米市は、県内の汚染稲わらの四千八百ロールのうちの半分の二千三百ロールがあり、登米市独自で県と協議しながら、一時保管場所の確保と一時保管を県内で最初に始めた地域であります。最初に保管したところでは、保管を終了してから一年以上たったところもあります。ちなみに、最初に保管を開始したのは、平成二十三年十月二十四日で、最後の一時保管わらの搬入が終わったのは、平成二十四年九月二十八日ごろであります。どの地域も二年間一時保管をすることで、地元の同意を得たのだろうと思うのであります。知事は、十月五日に長浜環境相から、宮城県を訪問して会談した際、環境大臣は、指定廃棄物の処理は国としてしっかり対応するとの言葉に、知事は、国任せにする気はなく、県でもやれることはきちんとやり、責任を持って汗をかくと応じ、国の最終処分場候補地の発表前に、汚染稲わら処分地のあり方について県内の首長の意見を聞き、地元の理解を進めたいと述べ、十月二十五日、県内の市町村長との意見交換を行い、指定廃棄物の最終処分場の設置は国の方針どおり、県内一カ所にすることを了承された旨が報じられておりましたが、現実的に、処分の方法として、次の段階の中間処理場か最終処分場をつくるにしても、仮に処分場建設の地元の理解が得られたとしても、施設建設の日数はある程度かかるのだと思うのであります。 先ほど述べましたとおり、登米市で最初に汚染わらの一時保管が始まってから十三カ月が過ぎようとしていますので、何としても最終処分場の選定は早く決定してもらい、二年以内の約束を守っていただくよう、強く国に要望していただくことを改めてお願いいたします。知事の決意のほどをお聞かせください。 次に、大綱二点目、大震災後の地域医療や福祉に対する県の考え方についてお伺いいたします。 宮城県の東日本大震災の復興における被災高齢者に対する福祉対策の方向性についてですが、県の震災復興計画における各期間の計画が第五期みやぎ高齢者元気プランに掲げられています。復旧期二十三年から二十五年、仮設住宅の高齢者への支援としてサポート拠点等の整備、そして、再生期でのサポート拠点機能の地域移行の中で、仮設住宅閉鎖後、復興住宅や新市街地でのサポート機能とコミュニティー機能の充実を発展期も行うと述べておりますが、宮城県は、今回の大震災の中、十五市町村の四百六団地に二万二千九十五戸の仮設住宅が建設され、五十八カ所の団地の中に仮設住宅サポートセンターを設置し、その開設や運営を指導しました。主な事業内容は、巡回訪問、総合相談や地域交流サロン、心の相談などの事業を行うとともに、被災者に寄り添いながら被災者側に立った事業を行ったようであります。そして、運営は主に各市町村の社会福祉協議会や社会福祉法人やNPO法人が当たったとなっています。およそ九百人の方々が見守り活動に当たりました。 今後は、災害公営住宅の建設とともに、老人世帯を含めた多くの被災された人々は、仮設住宅から災害公営住宅に移るはずですが、八月に訪れた兵庫県の防災企画局復興支援課でのお話ですと、阪神・淡路大震災の中で、地域事情があるので一様には言えませんが、高齢化率は避難所から仮設住宅、そして災害公営住宅に移るに従い高くなり、災害復興公営住宅は一般の県営住宅に比べて二倍近くであり、単身世帯の割合も非常に高いと説明しておりました。阪神・淡路大震災では、被災者の孤独死は七百人にも上ったとあります。そのような状況を踏まえ、災害公営住宅への見守り支援を強化し、公営住宅の転居が始まった平成九年から生活援助員、生活復興相談員制度を出発点として、平成十三年からは、住宅居住高齢者の状況に合わせ、生活復興相談員を高齢者世帯生活援助員として高齢者支援に特化し見守りを強化することとし、平成二十四年三月からは、高齢者自立支援広場事業として、常駐での支援、常駐見守りを主体に、自立支援広場五十四カ所を設置することにしたと説明をされていました。被災された高齢者の皆さんに対する福祉や支援は本当に息の長い事業であり、この事業の予算も復興基金の一部を充当して行っているとのことでした。七月に県の出した宮城県災害公営住宅整備指針・ガイドラインの第四章の地域特性に配慮した取り組みの中で、生活援助員を配置したシルバーハウジング導入をうたっております。 今後、県は、仮設住宅閉鎖後の高齢世帯の福祉のあり方、とりわけ兵庫県で話されていた公営住宅の見守りについて具体的にどのようなことを考えているのかについてと、今、仮設住宅で機能をしているサポートセンターの今後の方向性について、さきほど述べましたが、兵庫県では復興基金の一部を充当していますが、財源も含めて県の考え方をお聞かせください。 次に、国は、平成二十二年六月に閣議決定した地域主権戦略大綱、そして平成二十三年八月に公布した第二次一括法絡みの地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律の中で、現在、都道府県知事並びに指定都市及び中核市の長が処理している社会福祉法人に対する定款変更等の業務について、主たる事務所が市の区域内にある社会福祉法人にあって行う事業が当該市を越えないものについて一般市へ権限移譲するとし、権限移譲の対象となる事務について、法人設立の許可や業務、会計状況の報告、徴収、検査などをうたっていましたが、県は、平成二十四年七月二十六日付で、社会福祉法に基づき県北部の社会福祉法人に対して措置命令を発しました。この措置命令に至ったのは、県の法人に対する一般監査や特別監査の実施が発端であるとのことでありますが、今回の第二次一括法で、県から各市に、県が持っている社会福祉法人に対する権限を移譲されることになっていますが、この監査権は、平成二十五年四月一日から市に移譲されることになっています。 現状で、各市に対する委譲準備はどのようになっているかについてと、この権限移譲は、今後、社会福祉施設の設置許可、指導監査等について、従来どおり各施設所管課の権限に変化なしとありますが、この先、更に権限移譲は進むかどうか。例えば養護老人ホーム、特別養護老人ホームや軽費老人ホームの県の所管であります設置申請許可窓口などにも今後及ぶかについて、県の所感を知らせください。 次に、さきの九月議会の決算総括において、二人の議員から特別養護老人ホームの居室定員について質問されている中で、国の基準省令の改正で省令を見直して、広域型では、今までの居室の定員は多床室の基準も含め四人以下とするから、居室の定員は一人とすること。ただし、入所者へのサービスの提供上の必要と認められた場合は二人とすることもできるとして、多床室基準を削減してユニット型個室に一本化したとありましたが、それに対して、県は、地方分権の観点から、これまで国の法律や省令で全国一律で定められていた施設や介護サービス事業所等の人員、設備などの基準について、地方公共団体が条例により定めることになったことで、県は、居室定員については原則一人とするが、地域の実情に応じて四名以下と条例で定めたいとの考えですが、具体的に、国は、第二次一括法において、県から市への権限の移譲を実行しています。福祉のすべてと言っていいくらいの実質事業は基礎自治体で行っていると言っても過言ではありません。その基礎自治体の声を聞き、県は、国へ何度となく、知事会を通して意見を述べています。知事は、この十年ぐらい介護施設増設の要望がピークに達する期間だけでも国も考えてほしいとも言っていました。さきの社会福祉法人に対する県の持っている権限を各市に移すことと、基礎自治体が住民要望にこたえるための切実な要望を聞き入れない国の政策に、何となくわからないものを感じます。 道州制推進知事として、このような政策に対する所見をお聞かせください。 次に、県の二次医療圏の見直しについてですが、県北地域医療計画策定懇話会は、九月十四日に、県内に七つある二次医療圏の再編で、県北の五医療圏を登米、石巻、気仙沼と大崎、栗原の二つの医療圏の組み合わせで合併することを決めました。この決定は第六次県地域医療計画に盛り込まれることになるとのことでありますが、この策定懇話会の十一月十二日の会合には、気仙沼、栗原、登米市の三市から県に要望書が出されました。とりわけ気仙沼、栗原の二市からは、もう少し時間をかけて慎重に審議してほしいと、現段階では賛成しかねるとの話でありますが、今後、県は、十二月にこの中間案に対するパブリックコメントを実施することになっており、一月下旬には最終案をまとめるとのことでありますが、どのような最終案になるにしろ、病院が被災し再建することになっている現状の気仙沼医療圏を構成している南三陸町の病院整備基本計画策定委員会の委員であります志津川病院の院長は、医療圏での役割と今後の方向性などの考えを述べた中で、急性期医療の高度な部分を石巻赤十字病院、中度の部分を登米市民病院に依存し、軽度の部分を志津川病院が担当することにしたいと述べ、更に、今後、新志津川病院が一般病床と療養病床と合わせ最大九十床で運営するにしても、最低でも内科医五人、外科医一人は必要で、登米市民病院との密接な関係を築くことが重要であると述べています。 ぜひ、今回の医療圏の見直しの中、地域の声が生かされるような決定がなされることをお願いしたいと思いますが、県の考え方をお聞かせください。 次に、地域医療を支えていただく医師の確保の対策についてですが、制度はいろいろあり、ドクターバンク制度や宮城県医師育成機構の事業としての医学生の修学資金を貸し付けし、大学卒業後に医師として自治体病院での地域医療を担ってもらうために募集をしたり、文部科学省所管の東北メディカル・メガバンク計画による医師確保や宮城県医師育成機構による事業を通じて地域医療を志す医師を確保する案などがあります。東北大学では、災害地域医療教育支援部が新設されました。そして、実際、この十月一日に、メディカル・メガバンク機構経由で南三陸町と女川の医療機関に四人の医師が勤務することになったそうですが、県が関係している地域医療を担う医師の確保対策はいろいろな形があり、それなりの結果は出ているようですが、各取り組みの現状はどのようになっているかについて教えてください。 また、先ほど志津川病院の院長が医療圏の話の中で述べていた、医療圏内の病院の密接な関係の上での医師確保の話ですが、このような医療圏内の中核病院を中心とした臨床研修体制の確立整備の中での医師の確保のあり方などは、現実的には可能性があるものなのかについて、また、県の医師確保事業の今後について、県の考え方をお聞かせください。 最後に、県の自治体病院に対する考え方についてですが、被災された地域も被災しなかった地域の自治体病院も一様に、現在の最大の急務は医師の確保であります。ですから、県の医師確保の成果が上がることに、各自治体病院は皆期待しているはずであります。 私は、地域の人口減で高齢化率の高いところの自治体病院は、昔とは果たしている役目が違ってきているように思うのであります。国は、この四月から、高齢者が医療や介護を自宅で受けられることを支援するとして、在宅サービスを手厚くし、医療との連携も強化するとあります。ある試算では、寝たきりの人で介護度五の人が施設に移ると、毎月、介護費用が平均で在宅の二十万円から三十二万円にはね上がるとのことです。本人はもちろん、保険料や税金で制度を支える高齢者、現役世代も負担が重くなり、そのためにも、在宅サービスを整備することの必要性を国は語っておりますが、この在宅サービスを効率的にするには、訪問看護を含め医療と介護の連携は欠かせません。二〇二五年、六十五歳以上の人口は、二千九百万人から三千五百万人に、介護費用は、七・九兆円から二十兆円になると予想されています。今後、消費税の福祉対策への導入などがあったとしても、これ以上の納税者の負担を抑えるためにも、在宅介護への移行は考えなくてはいけないはずですが、医師充足率の低い地域での自治体では、医療と介護との連携の中で医療を担うのは、恐らく、自治体病院を中心とした在宅介護応援システムであったり、介護療養型医療施設の運営母体としての自治体病院であったりと、医療だけの自治体病院から福祉政策を担う一つの中心になるように思うのであります。民間のホームドクターがこのことを担うという考えもありますが、地方では自治体病院が担わざるを得ないと思います。 県として、自治体病院をもう一つ違った見方をしていただき、医師確保対策を今までとは違う福祉対策としてもとらえ、自治体病院対策を考えなければいけないと思いますが、知事の考え方を聞かせください。 壇上からの質問を終わります。 御清聴ありがとうございます。 ○副議長(佐々木征治君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 只野九十九議員の一般質問にお答えをいたします。大綱二点ございました。 まず、大綱一点目、復旧工事における問題点についての御質問にお答えをいたします。 初めに、海岸部に河口がある県管理河川の津波防御の方針についてのお尋ねにお答えをいたします。 県では、河口部の津波対策として、チリ地震津波以降、遠隔操作化を含めた防潮水門の整備を実施してきたところであります。しかしながら、今回の大津波により、これらの防潮水門が壊滅的な被害を受け、また、多くの水防関係者がお亡くなりになられたことを踏まえ、できるだけ水門に頼らない津波対策を講じることといたしました。このため、宮城県が管理する海岸部に河口のある二十九河川のうち、管理延長が極めて短い稲淵川などを除き、堤防方式により津波対策を行うこととしております。 次に、現行制度の支援対象とならない土地に対する補助制度の創設等についての御質問にお答えをいたします。 地盤沈下した宅地等のかさ上げは、被災市街地復興土地区画整理事業や漁業集落防災機能強化事業により行うことができますが、これらの事業の対象とならない地域においては、市町が震災復興基金などを活用し、宅地の盛り土や基礎のかさ上げなどに対して独自に助成しているところであります。しかしながら、これら独自支援は市町における財政的負担が大きいことから、市町と連携し、国に対して支援を要望してまいりました。そして、先月、閣議決定されました日本再生加速プログラムにおいて要望の趣旨が盛り込まれたところであります。今後、特別交付税の予算措置と追加交付が早急に実現するよう、引き続き国に強く働きかけてまいります。 次に、汚染稲わらの一時保管の期間と指定廃棄物の最終処分場についての御質問にお答えをいたします。 汚染稲わらの一時保管については、昨年八月に放射性物質汚染対処特措法が制定され、指定廃棄物の処理は国の責任で行うこととされたことから、処理が円滑に進むものと考え、保管の期間を二年間と説明し、御理解をいただいてきたところであります。 県といたしましては、最終処分場候補地の選定や候補地となった市町村、住民への説明などを含め、国が主体的に責任を持って行うよう、これまで再三、国に対し要請してきたところであります。更に、十月二十五日の市町村長会議において意見を集約し、環境大臣に候補地選定の考え方やプロセスの丁寧な説明を重ねて、段階的な合意形成を図りながら候補地選定を進めるべきであること等を内容とする要請文を手渡すなど、早期設置のための調整を図っているところであります。 今後とも、最終処分場ができる限り早く設置されるよう対応してまいります。 次に、大綱二点目、大震災後の地域医療や福祉に対する県の考え方についての御質問にお答えをいたします。 初めに、住民ニーズにこたえるための切実な要望を聞き入れない国の政策に対して、道州制を推進する立場での所見はどうかとのお尋ねにお答えをいたします。 さきの国会で成立した、いわゆる第二次一括法などにより、福祉分野を含めて着実に市町村への権限移譲が行われていることは、一定の評価ができると認識をしております。一方で、特別養護老人ホームの整備について、国では、居室定員の基準を一人に変更したり、多床室における介護報酬単価を引き下げるなど、残念ながら地域の実情と異なる対応も見られるところであります。今後、少子高齢化や社会の多様化が進むにつれて、現在の中央集権型行政システムでは地域特有の行政ニーズへの対応が困難となるものと考えられ、自己責任のもとに決定できる仕組みを構築することが重要であると考えております。 県といたしましては、今後も国に対して、地方の判断による柔軟な施策が展開できる真の分権型社会の実現を強く求めてまいります。 次に、自治体病院の役割を福祉政策としてもとらえた上で医師確保対策を検討すべきとの御質問にお答えをいたします。 宮城県の場合、医療資源の集中している仙台地域以外において、主として地域医療を支えているのは自治体病院でありますが、どの地域においても医師不足は深刻であり、高齢化の進展に伴い急増する医療、介護のニーズにこたえるには、必ずしも十分とは言えない状況であります。 県といたしましては、ICT、情報通信技術を活用した医療福祉情報ネットワークの整備等を通じ、病院、診療所、薬局、介護施設等の間で患者の診療、介護情報等を共有し、患者を中心とした効率的な医療、介護サービスの提供体制を整備することにより、医師の業務負担軽減を図るほか、遠隔医療の推進等により、在宅医療、介護の充実を促進するなど、地域において医師が働きやすい魅力的な環境を整備し、医師の確保、定着の促進に取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。 ○副議長(佐々木征治君) 保健福祉部長岡部敦君。    〔保健福祉部長 岡部 敦君登壇〕 ◎保健福祉部長(岡部敦君) 大綱二点目、大震災後の地域医療や福祉に対する県の考え方についての御質問のうち、仮設住宅閉鎖後の高齢者世帯に対する福祉のあり方と、災害公営住宅での見守り体制についてのお尋ねにお答えいたします。 災害公営住宅には、ひとり暮らしや要介護認定を受けている高齢者など、日常生活で支援を必要とする方が多く入居されると考えられますことから、孤立死等を防ぐためには、現在の仮設住宅におけるサポートセンターと同様の見守り体制を整備することが必要であると考えております。県では、災害公営住宅整備指針の中で、市町に対してシルバーハウジング導入などの提案を行っているところですが、その実現に向け、人材育成や兵庫県で実施している事例等の情報提供を通じまして、地域の実情に応じた専門職による相談や生活支援員の配置など、入居される方々が安心して生活できる体制が構築されますよう、市町を支援してまいります。 次に、仮設住宅のサポートセンターの今後の方向性についての御質問にお答えいたします。 被災市町で設置運営しておりますサポートセンターにつきましては、入居者の生活支援や見守り活動の拠点として重要な役割を担っているものと認識しております。その経費につきましては、地域支え合い体制づくり事業や緊急雇用創出事業など、国の交付金を財源とする基金事業によって賄われており、これまで交付金の積み増しと事業期間の延長が行われてきた状況にあります。 県といたしましては、仮設住宅での生活の長期化に伴い、被災者の抱える問題が複雑多様化してきており、地域の実情に応じた見守り体制の展開や新たなサポートセンター設置等のニーズに対応する必要があると考えております。加えて、仮設住宅から災害公営住宅に移行した後につきましても、高齢者や障害者等支援が必要な方々を地域で支える仕組みを維持する必要がありますことから、国に対して、長期的な視野に立って必要な財政支援を継続するよう要望してまいります。 次に、社会福祉法人に対する県から市への権限移譲の準備状況と施設の設置許可等に係る権限移譲の見込みについての御質問にお答えいたします。 県におきましては、今回の社会福祉法の改正を受け、移譲対象となる市に対して、ことし六月に今後の準備事務のスケジュールと移譲事務の概要について説明会を開催したところであり、来年一月には、法人設立認可等の実務研修会や会計事務研修会を開催することとしております。 また、法人の指導監査につきましては、県の指導監査の際、市職員の立ち会いによる実地研修を現在行っているところであります。更に、権限移譲後は、各市が実施する指導監査に当面県が立ち会うなど、積極的に支援してまいります。 今回の第二次一括法におきましては、法人設立認可や法人の指導監査が移譲対象となりましたが、社会福祉施設の認可等につきましては、地域主権改革の中で引き続き検討される項目となっていると伺っております。 次に、県北の二次医療圏の再編に当たり地域の声を生かすべきとの御質問にお答えいたします。 二次医療圏の再編につきましては、これまでも関係自治体に足を運び、市長、町長、中核的な病院の院長、郡市医師会長等から再編案に関する御意見を伺い、その都度、地域医療計画策定懇話会に報告いたしております。また、気仙沼市、登米市、栗原市からいただきました要望書につきましても、懇話会及び医療審議会に提示の上、それぞれ説明を行っております。各会議における議論におきましては、現行の七医療圏を四医療圏に再編する方向づけにつきましては変わらないものの、再編の対象となる地域の住民や医療関係者に不安を与えないような医療提供体制について、計画にしっかり書き込むことが必要との意見が共通して出されております。最終案の取りまとめに当たりましては、現在実施中のパブリックコメントに寄せられます御意見に加え、今後とも関係自治体の皆様に対し丁寧に説明し、更なる御意見をいただきながら、県民の安心と信頼を得られる計画にしてまいります。 次に、県が関係する医師確保対策の取り組みの現状についての御質問にお答えいたします。 県が実施しております医師確保対策といたしましては、現在、ドクターバンク事業で十三人、ドクターキューピット事業で二人、自治医科大学を卒業した義務年限中の医師が十二人、それぞれ自治体病院等において地域医療に従事しております。また、医学生への修学資金貸付事業につきましては、これまで延べ百人の医学生に貸し付けを決定し、現在、そのうち十五人が知事指定の自治体病院等に勤務しております。 なお、東北大学が実施する東北メディカル・メガバンク事業につきましては、ことし九月に事業の協力に関する協定を締結し、循環的医師配置を行いますクリニカルフェロー制度につきましても十月から開始されておりまして、今後、県としても必要な協力を行うこととしております。 次に、医師確保対策の今後の考え方についての御質問にお答えいたします。 地域の中核的な病院を中心として医師が循環的に勤務しながら多種多様な臨床経験を積む手法は、医師のキャリア形成を支援する観点で大変有効なものと認識しております。 県といたしましては、宮城県医師育成機構の取り組みの中で、地域医療人材の育成を行うため、東北大学病院に新設されました総合地域医療教育支援部との連携を図りながら、臨床研修体制の整備や医師のキャリア形成支援等を行い、医師が安心して地域医療に貢献できる環境整備に努め、医師の招聘、県内定着を促進してまいります。 私からは、以上でございます。 ○副議長(佐々木征治君) 農林水産部長山田義輝君。    〔農林水産部長 山田義輝君登壇〕 ◎農林水産部長(山田義輝君) 大綱一点目、復旧工事における問題点についての御質問のうち海抜ゼロメートルとなった農地面積についてのお尋ねにお答えいたします。 地震後に地盤沈下が著しい地域で更に排水不良になったと思われる農地面積は、約三十七平方キロメートルと推定しております。また、増加した割合については、昨年五月に東北地方整備局から公表されたデータによりますと、三倍程度に増加したものと思われます。 次に、地盤沈下した農地の諸問題に対する支援策についての御質問にお答えいたします。 東日本大震災により地盤沈下した農地については、地形条件等を踏まえ、沈下の程度に応じ、排水対策の強化など、技術的な対応が必要となります。 このため、県では、農業・農村の復旧・復興推進のためのパートナーシップ協定に基づき、独立行政法人農村工学研究所の技術的支援を受けつつ、排水機場の能力向上を初め、潮受水路や地下暗渠により地下水位の低下を図るなど、従来と同様、農地の機能を確保するよう、農地復旧を実施しているところであります。また、排水機場の復旧に当たっては、従来よりエネルギー効率のよいポンプやエンジンの導入、除じん機の設置によるごみ除却費の低減など、排水機の能力向上に伴う運転経費の増蒿を極力軽減できるようさまざまな対応を行っているところであります。 今後、土地改良区の維持管理費等の状況にかんがみ、必要に応じ、排水機場の維持管理費に対する支援を関係機関と一体となって国に対し働きかけてまいります。 私からは、以上でございます。 ○副議長(佐々木征治君) 土木部長橋本潔君。    〔土木部長 橋本 潔君登壇〕 ◎土木部長(橋本潔君) 大綱一点目、復旧工事における問題点についての御質問のうち、国管理河川の支川である県管理河川の津波対策についてのお尋ねにお答えいたします。 北上川などの国管理河川では、河口部において津波対策を講ずることとしており、これらに合流する皿貝川などの県管理河川においては、一般的に国が合流部に水門を設置していることから、津波の遡上が防止されております。このため、このような県管理河川においては、堤防方式ではなく、水門方式により津波を防御することとなります。 次に、国管理河川の支川である県管理河川の堤防高についての御質問にお答えいたします。 国管理河川の合流部に水門が設置されている県管理河川では、地盤沈下対策として堤防のかさ上げを行い、復旧することとしております。ただし、鳴瀬川の河口部に合流する北上運河については、唯一、合流部に水門が設置されていないことから、比較的発生頻度の高い津波、いわゆるレベル1津波に対応した堤防高で整備することとしております。 次に、地盤沈下の状況についての御質問にお答えいたします。 宮城県沿岸部における地盤沈下については、国土交通省東北地方整備局から、航空レーザー計測等によって得られたデータが公表されており、その公表データによりますと、海抜ゼロメートル以下の面積は、地震後五十六平方キロメートルとなっており、地震前に比べると三・四倍に増加しております。 次に、家屋被害の少ない地盤沈下した地域に関する将来のあり方についての御質問にお答えいたします。 地盤沈下した地域については、家屋の被災状況、将来の土地利用や経済性などを勘案し、ポンプ等による強制排水や土地のかさ上げなどの対策を各市町が総合的に判断し、実施するものと考えております。家屋の被害が少ない地域において盛り土を行う場合は、家屋の移転や補償などが必要となることから、ポンプによる強制排水を選択せざるを得ない場合があると認識してございます。そうした場合においても、市町においては、排水ポンプの運転費用などの維持管理経費や施設更新時における負担が発生することから、将来の負担軽減が図られるよう、都市内の総合的な排水対策について、市町とともに検討してまいります。 次に、沈下した道路下に埋設されている下水道管の復旧方法についての御質問にお答えいたします。 地盤沈下した道路下に埋設された下水道管については、管のたるみや損傷により、下水道の流下能力が低下した区間を新しい下水道管に入れかえるなどの方法により復旧することとしております。また、地盤沈下した道路をもとの高さまでかさ上げする場合については、土かぶりの増加により下水道管の強度不足が想定される箇所を必要に応じて入れかえるほか、マンホールを復旧後の道路高さに合わせて継ぎ足しするなどの措置を講じてまいります。 次に、地盤沈下した地域が盛り土により復興される場合の下水道の復旧及び新設についての御質問にお答えいたします。 区域全体をかさ上げしても土地の区画に変更が伴わない場合の下水道の復旧は、原形復旧となりますが、当該区域に区画整理事業が導入され、新しい区画となった場合には、下水道管路網を再構築することになります。地盤沈下した地域における下水道管路の復旧に当たっては、沿岸各市町の復興整備計画に定める土地利用と整合を図りながら整備を進めることとしており、下水道が住民生活を支える重要なライフラインであることを踏まえ、早期に復旧が図られるよう、県といたしましても、引き続き支援してまいります。 以上でございます。 ○副議長(佐々木征治君) 十九番只野九十九君。 ◆十九番(只野九十九君) 二、三、再質問さしていただきたいと思います。 一点目は、汚染稲わらについてなんですけども、先般、福島県で、除染した部分について、各町村で中間処理施設の話で、市町村と国との話し合いの中で、大体大筋まとまったというよりも、方向性が出てきてるんですけども、それでも計画に三カ月ぐらいの設計を要するとか、つくるとかというような話をしていますね。登米市の場合、今、十一カ月切ってるんですね、最初に汚染稲わらが一時保管終わってから。そうしますと、どのように頭の中で計算しても、間に合わないんではないかなっていうふうな感じを、恐らく、ごく普通に考えてれば、みんな持ってるんだと思うんですね。ですから、これは、十一カ月以内になればそれはそれでいいんですけども、宮城県の中で今、進めようとしている国有林の話も含めましても、それはそれで、なったらなったでいいんですけども、ならなかった場合の話を聞くのはあれなんですけど、最低限、なし崩しじゃなくて、やはり、きちっとした説明の中で進捗を説明していくということは、私自身は、必要なんではないかなと思うんですね。二年とかそこらあるって話じゃなくて、現実にもう十カ月、十一カ月切って、二年の残り期間というと十カ月ちょっとなんですね。ですから、これについては答えられないかもしれませんけど、最低限、やっていくときには説明をしていくという努力は県の方で必要だと思うんですけども、県の方というよりも国の方なんでしょうけども、うちの方の登米市は、代行して市の方が直接担当したものですから、市の方に相当の苦情なり何なり行くっていうことを勘案しても、このことについては、県の方で国の方に強く言っていただければありがたいというふうに思うんですけど、いかがでしょうか。 ○副議長(佐々木征治君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 先ほど答弁いたしましたとおり、昨年の八月、一年以上前に特措法ができて、その中で、国の責任で行うというふうになったということであります。その時点では、恐らく特措法ができて国の責任で行うというんですから、とんとんと話が進むものだと、このように思っておりましたら、ここまでまだずるずると来て、まだ国から正式な自治体に対する説明も何もないというような状況であるということであります。 今、選挙中でございまして、新しい政権になりますと、恐らく今の大臣からかわるのではないかというふうに考えられますので、私としては、総選挙後、新たな政権ができて、新たな担当大臣が決まったならば、一日でも早く行って実情を訴えて、早くしてくれということを言おうというふうに思っております。これについて、登米市さんを初め汚染稲わらを預かっている自治体には大変な迷惑をかけることになりますが、県としても傍観者でいてはいけないというふうに思っておりまして、しっかりと早目に情報をとって、関係する自治体の方に情報提供できるように努めてまいりたいというふうに思います。しっかりと国の方に話をしてまいりたいというふうに思います。 ○副議長(佐々木征治君) 十九番只野九十九君。 ◆十九番(只野九十九君) 次に、県管理の河川で南三陸の話をしたんですけども、水門から堤防のかさ上げで、レベル1の震災対応をするというような話になったんですけども、これは、県の河川の中でこのような対応をしようとしている河川については、何カ所ぐらい、今、想定しているんでしょうか。 ○副議長(佐々木征治君) 土木部長橋本潔君。 ◎土木部長(橋本潔君) 先ほど知事からも答弁ありましたが、海岸部に河口のある二十九河川ございまして、そのうち三河川だけ、堤防方式としていない、管理延長が極めて短い稲淵川、それから後川、大沢川、こういったところは除きまして、ですから、二十六河川を堤防方式により津波対策を行うということでございます。 ○副議長(佐々木征治君) 十九番只野九十九君。 ◆十九番(只野九十九君) 国は、北上川の一級河川とか何とかについては、今回の津波で遡上した地域まで、一メーターないし三メーターの堤防をかさ上げするというような話をしておりまして、北上川とか旧北上川、該当するというふうな話なんでしょうけれども、先ほど言いました皿貝川の話については、そのようなことであれば、正直言って、今の水門そのものにも手をつけるようになるとか、そういう話については、県の方ではお話をいただいているんでしょうか。 ○副議長(佐々木征治君) 土木部長橋本潔君。 ◎土木部長(橋本潔君) 北上川の津波対策、直轄さんの計画でありますと、現在の堤防高から約四メーターぐらい上がります。これは、我々の横須賀海岸と同じ高さのTP八・四メートル、これを大体一キロ区間ずうっとその堤防高でいきまして、そして現堤高にすりつけていくと。これは津波の河川遡上のシミュレーションをして、こういう計画を決めております。そういった中で月浜第二水門が、バック堤の津波対策の堤防の中に入ります。それから、月浜第一水門は現堤の津波の対策をしない区間の中に、皿貝川の月浜第一水門が入っております。ですから、月浜第二水門は大沢川が合流してますが、月浜第二水門については、津波対策とあわせた水門となって直すと。それから、月浜第一水門についても、現在被災してますから、それも災害復旧で直すというふうなことで計画がなされてると伺っております。 ○副議長(佐々木征治君) 十九番只野九十九君。 ◆十九番(只野九十九君) 今、質問したのは、この水門を基準にして、海水が逆流して水田が塩害を起こしたというような話になってるんですね。水門の部分は、国土交通省や県の土木部でお話ししてなってるんでしょうけども、塩害の部分は、農林水産部の方でこのことについてやってるんですよね。ですから、このことについては両部で話ししてるかどうかっていうの、ちょっとわかんないんですね。緊密に連絡とり合ってるかとかね。例えば、遡上について、水門を直すことによってこういうふうに直り方をするとかね。これ、恐らく地盤沈下したところのやつについては、すべてが県の土木部と農林水産部が緊密な連絡をとらない限り、一歩も二歩も前に行かないんですけども、どうもそのことが、外で見てると、連絡したというふうなところが全然見えないんですけども、どうでしょうか。 ○副議長(佐々木征治君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 当然、両部でいろいろ調整をしながら進めてはおりますが、更に緊密に連携をとるように指導してまいりますというふうに思います。 ○副議長(佐々木征治君) 十九番只野九十九君。 ◆十九番(只野九十九君) 知事が緊密だと言うんだから、それは間違いないんでしょうけど、より以上に緊密な連絡を。全般にこのことに関しては、防潮堤の話と農地の復興の話もより身近なところで、相当ひどい話になってるんで、より情報の交換をしていただきたいというふうに思います。 あと、医師確保の問題なんですけど、知事、これ今、福祉と医療との連携の中で、お医者さんがいなければ在宅介護というのはなかなか進まないという現実がありまして、こういう面からすると、医師確保対策、県でいろいろやっていただいているんですけども、ある意味、各地方の自治体病院の医師の確保については、県の方である程度、一元管理というのはおかしいんですけど、目標値を決めて、かなり関与していくとかという話をしない限り、介護と医療というのは、今々できるわけでないんですけど、将来、そのような形でもっていくというような方針を出さないと、なかなか全体的に、医療と介護、福祉との連携は、お医者さんを中心とした見方の中では成り立たないような気がするんですけども、このことについては、医師が不足で何から手をつけていいかわからないという現実の中でなかなか言いにくいんですけども、県の方でここの部分については、長期展望というか、こういう話については考えてはいないんでしょうか。 ○副議長(佐々木征治君) 保健福祉部長岡部敦君。 ◎保健福祉部長(岡部敦君) 大変、医師不足ということで厳しい状況がございますので、そういった中で公立病院なり一元管理ということになりますと、例えば、さきの議会でしたか、いろいろ御質問もありました自治体病院で、全体として機構をつくって採用をして循環をさせるとかそんなものも、提案としてはいろいろあるわけですけども、なかなかそういった取り組みについては、現段階においては厳しい状況かなというふうには思っております。介護の問題については、医療界の方でも福祉と医療の連携ということについては、今回の震災も契機にして、本当に必要だということは十分認識が進められておりまして、在宅医療の部分をしっかりと構築していくというふうなことで連携を緊密に図っていくというふうなことが重要なのかなというふうには思っております。 ドクターバンク等々におきましても、いわゆる総合医ということで在宅医療なり、そういったところに目を向けていらっしゃる先生方も、宮城県内の方で働きたいというふうなことも多くなっておりますので、そういった状況などもつかみながら、今後とも、医療と福祉の連携のあり方について、いろいろ議論を深めていきたいというふうに思っております。 ○副議長(佐々木征治君) 十九番只野九十九君。 ◆十九番(只野九十九君) 医療圏の話、最後になるんですけども、今回の大震災の中で、南三陸の志津川病院が登米市に、今、病院を構えております。これは、恐らく志津川の南三陸の人たちから見ると、一番近いところで便利なところは登米市だと言っても過言ではないんだろうと思います。それで登米市の多くの市民の皆さん方、全部とは言いませんけど、三陸道の恩恵の中で石巻の病院の利用率が高まってきております。その中で、医療圏の見直しというより、医療圏全体の話よりも確実に、二つの医療圏の中で使いやすい地域が、明確にその場所にあるっていうことだけは、よく理解していただいて、医療圏の見直しの参考にしていただければ、大変ありがたいというふうに思います。これは要望です。よろしくお願いします。 終わります。 ○副議長(佐々木征治君) 四十三番内海太君。    〔四十三番 内海 太登壇〕 ◆四十三番(内海太君) 通告に従いまして、一般質問をいたします。 前の議員の質問と重なる部分もありますが、重要な課題なので、質問いたします。 昨年の三月十一日、あの日からはや一年八カ月が過ぎ、二度目の師走を迎えました。被災地では、困難な中から立ち上がり、住宅の再建、なりわいの再建に全力で取り組んでいる方がいる一方、防災集団移転や震災公営住宅の建設、区画整理事業の推進がなかなかはかどらないため、住宅や産業の再生は進まず、先行きの不安を感じ、夜も寝られない日が続くとして健康を害している人も多く、一日も早く復旧・復興との訴えを毎日聞いております。 これまで県、市、町、県議会も一体となり、国に対し復興予算の確保、そして、被災地に合った支援制度を求め、全力で取り組んでまいりました。一〇〇%とはいかなくても、知事が議会で答弁しているように、相当の部分が要望にこたえる内容となっており、大震災の予算二十三兆円のうち、既に二十四年度予算において十九兆円の予算確保がなされております。これを受けて本県の予算も、今回の補正予算、更に追加補正される七百七十三億円を含めますと、三兆円を超え、震災対応分だけでも、既に一兆三千九百六十八億円余の予算が措置されております。この膨大な予算の着実な執行が認められております。 そこで、主要六項目、保健医療の充実三項目について質問いたします。 質問項目が多いので、簡単にいたします。 まず、復興住宅の確保対策です。 復興交付金事業として認められた防災集団移転促進事業や震災公営住宅事業がいまだ用地買収にも着手されない市町がある中で、その原因は、事業に精通した自治体職員や設計測量コンサルタントの不足などが指摘されております。事業主体である市町の事業推進の環境の改善を図るため、県は力強く支援すべきと思いますが、いかがですか。 埋蔵文化財の調査に長時間を要することも防災集団移転促進事業がおくれている原因と指摘されていることから、取り組みの強化を求めるものでありますが、いかがですか。 災害公営住宅の建設については、県も市町に協力して早期の復興に取り組んでいることは承知しております。気仙沼市では、二百戸の整備計画に対し用地が決定されているのは百六十戸にとどまります。知事は、気仙沼市を訪問した際、県全体で県営住宅一千戸の建設を表明しましたが、その計画の内容、そして、その際、市町と調整する作業が出てくると思いますが、配分が決まるのがいつなのか、お尋ねいたします。 集合住宅型の災害公営住宅は一定の基準のもとで建設されるのでありますが、少子高齢化への対応やコミュニティーに配慮した入居者選定など、相当の工夫が必要と思います。仮設住宅入居後は新たなコミュニティーづくりに苦労したとの話を多く聞かされます。災害公営住宅の移転により再びコミュニティーを崩すことがないよう、入居のあり方を検討すべきであると思いますが、いかがですか。 災害公営住宅の整備に当たっては、県産材の利用、環境や高齢者のケア等への配慮をするなど、関係団体、NPO等からの提言内容を十分考慮するとともに、入居希望者も参加した住宅づくりを進めていくべきと考えますが、いかがですか。 被災市町の住宅再建に係る独自支援策に対する国の財政支援については、特別交付税による復興基金への積み増しで対応するよう訴えてきたことにより、国も一定の理解を示し、実現への見通しが立ったところでありましたが、この方針は総選挙後の新政権にも引き継がれるものと確信しております。強力な働きかけが必要と思いますが、今後の対応策をお示し願いたいのであります。 海岸防潮堤の復旧についてであります。 これまでの本会議や委員会等で防潮堤のあり方については、たびたび現地の声や岩手県の復旧工法について調査の結果を踏まえ、執行部に対して意見を述べてきたところであります。その際、知事は、防潮堤の高さについては基本的に変更しないが、位置や構造については地元の理解と合意を得て復旧すると答弁され、特に気仙沼市の四つの海水浴場について、その砂浜を復元させることを前提に各機関との調整をしていくと表明されました。更に、懸案としてきた海岸については整備案を示す。年度内には防潮堤の高さや位置を決定して復旧に取り組むこととしておりました。その方針に変わりないのか、まず、お伺いいたします。 また、全体の海岸の中で海岸管理者ごとの防潮堤に関する住民の合意の状況はどうなっているのか、お尋ねします。 県管理漁港である気仙沼鮪立、小鯖、浦の浜の各漁港では、位置や高さ、景観等について、住民からさまざまな意見が寄せられ懸案事項となっております。県が複数の案を示しながら住民の合意を得る努力が必要であると思いますが、今後の方針をお示しいただきます。 大谷海岸は、JR気仙沼線や国道四十五号線の移設問題もあり、今後の対応策が待たれます。県は、気仙沼市と協議し、復興庁の支援を得ながら一日も早く地元住民にその方針を説明すべきと思いますが、いかがですか。 大島の小田の浜海水浴場は林野庁所管の海岸ですが、県道大島線の関係もあり、県のかかわりが大きいのであります。隣接する田中浜海岸とあわせて今後の対応方針をお示しいただきたいのであります。 農林水産業の復旧・復興について。 農地の復旧は順調との説明がされておりますが、本年度における県内農地の復旧見込みと復旧目標に対する進捗状況はどうなっておりますか、お尋ねします。 その中で、気仙沼市と南三陸町の農地復旧状況が県平均に比べて極端におくれ、農業関係者からは厳しい指摘の声があります。今後、この圏域の農地復旧にどう取り組むのか、お尋ねいたします。 農地の復旧に当たっては、受益者負担の少ない国の制度を活用し規模拡大を図る基盤整備事業に積極的に取り組むべきであり、また、同時に六次産業を進め、地域ブランドの確立を図るための復旧・復興に一層取り組むべきと思いますが、県の整備方針についてお尋ねします。 漁船の復旧は非常にスピードが速く、それに比べると、漁港の復旧のおくれから物揚げ岸壁や荷さばき場の不足が生じております。各浜からは、ワカメ漁が始まる来年一、二月までの復旧を求める要望が出されており、本復旧とあわせて各浜の要望を踏まえた仮設復旧も進めるべきと思いますが、対応策についてお伺いします。 これまでも漁港の復旧のおくれを指摘し、スピード感を持って取り組むべきと再三にわたって執行部に迫ってきた中、先月の環境生活農林水産委員会において、水産業集積拠点漁港など二十七港で平成二十五年度復旧予定を平成二十七年度に延ばし、整備計画を見直す旨の説明を受けました。関係する漁協や漁業者にしっかりと説明し、早急に復旧が必要な漁港は優先して対応すべきと思いますが、地元漁協にはどんな説明を行っておりますか。漁業者の再生意欲をそがないようにすべきと考えますが、いかがですか。 震災からの復旧・復興に当たっては、生産、加工、販売まで一体的に取り組む六次産業化を水産業でも強力に推進すべきと思います。国の戦略事業として確立した支援制度を活用し、漁協と一体となって取り組むべきでありますが、県の方針についてお伺いいたします。 先進地であるノルウェーの水産業制度を参考として岩手・宮城両県の漁業関係者がまとめた提言は、日本の漁業、水産業の未来を切り開くすばらしいものと私は賛同いたします。水産特区の導入のみならず本提言についても重く受けとめ、県庁内で研究、検討すべきと思いますが、いかがでありますか。 中小企業等の復旧についてであります。 災害地では、国のグループ補助金や水産庁の補助制度を利用して復旧に取り組んでおります。とりわけグループ補助金は、第五次募集まで八十九グループ、一千六百九十四者、一千四百七十一億円が交付決定されました。しかし、第五次募集の際は、応募グループ百四十七グループ、二千三百五十五者、一千四百四十一億円に対し、二十四グループ、五百二者、二百七十六億円が交付決定となっただけで、多くのグループの企業が採択されず、大きな不満が残ったところであります。いまだ採択に至らないこれらの多くの事業者の要望に対応すべく、県を初め関係者の強力な要望にこたえ、去る十月二十六日、国の経済対策の一環として、予備費を活用して国費八百一億円の予算措置がなされ、これを受けて県では、今議会にグループ補助金として八百二十五億円、復旧整備支援貸付金として三百四十七億円の予算を計上し、第六次募集を行ってまいりました。十一月三十日で締め切られた第六次の応募企業数は八十九グループ、千六百十九者、七百九十三億円となったと、先ほど答弁されました。 県では、募集を始めるに当たり、大企業はグループの一部となるのは認め、大企業のグループ化は認めず、地元中小企業優先の考えに立っており、評価するものであります。これまでも、五次募集以降、関係の商工会議所、商工会、協同組合等へのグループ構成に当たっては、当補助制度の趣旨を踏まえ組成することが大事で、中小企業庁と一体となって取り組んできたことがしっかり認められるよう、結果を期待しております。できるならば全グループが認定されることを望みますが、審査をするに当たってどのような方針で臨むのか。そしてまた、後期の募集もあるので、グループ構成には特に留意して、関係団体や事業者の相談業務を丁寧に行うべきと考えますが、いかがでありましょうか。 また、国の概算要求でも、来年度以降、継続して予算計上されるよう一層の努力を期待しますが、今後の取り組み方針についてお示しいただきたいのであります。 懸案とされておりました補助金の繰越手続の簡素化が国から示され、一安心したところでありますが、交付決定後に事業着手できない事業者に対して、関係市町と協力して、さまざまな課題を乗り越え、早期に補助事業が完成されるよう取り組むべきでないのか、その点はいかがですか、お尋ねします。 特に、地盤沈下対策については、関係市町にかさ上げや土地区画整理事業の推進を促すとともに、それを待てない事業者については、かさ上げに対する支援策があるので、その周知も図っていく必要があると思いますが、いかがですか。 放射能の風評被害対策について。 製造工場や設備が復旧して、生産は徐々にでありますが復活、雇用の確保が図られ、地域経済にも少しの明るさが見えてきました。しかしながら、一年以上も生産できず、別の新しい業者との取引が行われたために、再開しても取引が回復しない状況にあります。取引業者は、放射能による風評の被害のためと理由にされているのが現状であります。 復旧・復興のためには、ハード面だけでなくて、風評払拭や販路開拓、製品開発等のソフト面への支援が大切であります。放射能の風評による販売不振が大きな課題となっている現状にあっては、零細企業が各種の商談会や物産展に参加する際の費用に対する支援制度の拡充や新規事業の創設が求められておりますが、所見をお伺いいたします。 震災瓦れきの処理状況について。 県の災害廃棄物量の縮減努力は評価いたします。県内処理を一層進め、広域処理を極力減らせるように努力を重ね、処理経費の節減を図るべきと思いますが、その取り組み状況についてお尋ねいたします。 名取処理区、岩沼処理区、山元処理区、宮城東部ブロックの処理量の見直しに伴う契約変更はいつ行われる見込みなのか、お尋ねいたします。 保健医療の充実について。 医師不足対策。宮城県は、人口十万人当たり医師の数は二百二十二・九人で、四十七都道府県中二十七位と中位にあります。登米医療圏は百一・二人で、仙台市の三百二十六・七人の三分の一以下で、気仙沼医療圏は百二十一人、石巻医療圏も百五十六・二人、県内の医師不足の状況が、医師の偏在という形で大きな問題となっております。登米医療圏には産科がなく、小児科も地方には少ない状況にあり、診療科による偏在も顕著になっております。 このような状況に対して、どこの地域に住んでいても安心して医療を受けられる体制を確立することは行政の責任であります。東北福祉大学の財団法人厚生会による医学部新設構想は、医師不足による地域医療の崩壊が始まっている地域にとっては願ってもない好機と思いますが、県として今後どう支援していくのか、お尋ねいたします。 県の医師確保対策は徐々に成果を上げております。しかし、依然として医師不足による医療過疎化は進行しております。特に、震災後一年半の石巻の医療機関の再開は、病院で八八・一%、気仙沼地域では七三・二%にとどまっているなど、沿岸被災地の地域医療の過疎化が深刻化していることをしっかり認識すべきですが、今後の地域医療、中でも医師確保対策についての所見をお尋ねします。 第六次地域医療計画策定に係る諸課題について。 第五次地域医療計画の改定に当たり、大震災における医療提供のあり方や大震災後の医療機関の復旧をどのように検証し、また、これまでの経験や反省を踏まえて、第六次計画にどう生かしていくのか、お尋ねいたします。 二次医療圏の再編について。 復旧・復興がおくれている気仙沼医療圏と石巻医療圏を同一圏とすることにどんな利点があるのか、理解に苦しみます。また、三陸道が気仙沼市まで延長されるまでの間は気仙沼医療圏を単独で維持し、住民に安心を与え、復旧・復興を推進することが望ましいと思います。気仙沼市も再編案に反対しておりますが、一月の最終決定まで再考する考えがないのか、お尋ねします。 建設が予定されております気仙沼市立病院、南三陸の志津川公立病院の再建に支障が出ないよう、知事の英断を望んでやみませんが、所見をお尋ねいたします。 最後に、ノロウイルス対策についてであります。 先般、六年ぶりのノロウイルスの流行の兆しを見せていることに対し、国は感染防止策をまとめ、都道府県に通知したと聞いております。本県は東北各県の中でも患者数が多く、特に子供や高齢者は重症化することもあるため十分な注意喚起が必要であり、関係機関を通じた早急な対策を講じるべきと思いますが、取り組みの状況をお尋ねして、私の質問を終わります。 ありがとうございました。 ○副議長(佐々木征治君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 内海太議員の一般質問にお答えをいたします。御質問が三十問と大変多岐にわたっておりますので、簡潔に答弁いたします。大綱二点ございました。 まず、大綱一点目、大震災復旧・復興対策についての御質問にお答えをいたします。 初めに、防災集団移転促進事業への県の支援についてのお尋ねにお答えをいたします。 防災集団移転促進事業は、十一月末日現在で十二の市町百六十六地区について、国土交通大臣の同意を得ており、今後、本格的な事業が進捗すると見込まれております。 県といたしましては、被災市町を支援するため、任期付職員の採用派遣や県外自治体への直接訪問による継続派遣の要請のほか、事業への理解を深めるための市町職員を対象とした勉強会の開催、発注者支援を図るためのコンストラクション・マネジメント方式など、新たな発注形態の提案などを行っております。更に、十月には、まちづくり・住宅整備推進本部会議を設置するとともに、私みずから沿岸市町を訪問し意見交換を行い、問題解決に取り組んでおります。今後も、防災集団移転促進事業がよりスピード感を持って進捗できるよう、引き続き、きめ細かな支援を行ってまいります。 次に、住宅再建支援の財源確保に向けた取り組みについての御質問にお答えをいたします。 被災者の住宅再建に対する各市町の独自支援につきましては、各市町と連携をしながら、さまざまな場面で国に対しその財源措置を要望してまいりました。その結果、十一月三十日に閣議決定をされた日本再生加速プログラムにおいて要望の趣旨が盛り込まれたところであります。 お話のように、新たな政権発足後、速やかに政府要望を行い、特別交付税の予算措置と追加交付を早急に実現していただけるよう、国に強く働きかけてまいります。 次に、海岸防潮堤復旧への取り組みについての御質問にお答えをいたします。 防潮堤復旧の設置位置等については、海水浴場の砂浜の保全など、地域の地形や背後地の状況等を考慮し、復興まちづくり計画とも整合を図りながら、住民の方々の理解を得た上で決定してまいりたいと考えております。また、時期については、これまでどおり、年度内に位置等を決定できるよう、努力してまいりたいと考えております。 次に、海岸管理者ごとの防潮堤復旧に関する住民との合意状況についての御質問にお答えをいたします。 県管理海岸の防潮堤整備は、農林水産部と土木部で災害復旧・新設合わせて二百八十四地区、延長で約百七十七キロメートルを予定しております。このうち、防潮堤の工事説明会を含め住民説明会を二百二十九地区で開催し、合意を得た地区のうち三十五地区で延長約二十キロメートルの工事に着手しております。また、海岸管理者ごとの合意を得た地区の割合は、農林水産部が所管する農地海岸、林野海岸、漁港海岸では、それぞれ七四%、一七%、一六%、土木部が所管する建設海岸、港湾海岸では、それぞれ八〇%と五一%となっております。 次に、防潮堤の整備に関する住民合意を得るための方針についての御質問にお答えをいたします。 気仙沼地区の漁港の防潮堤については、住民の方々から、高さ等の問題についてさまざまな意見が出ていることは承知をしておりますが、防潮堤の整備については、津波に対する人命や住民財産の保護、地域の経済活動の安定化、効率的な生産拠点の確保の観点から、基本計画防潮高に基づき、確実に進めていく必要があると考えております。 県としては、これまでも、防潮堤の必要性や高さの根拠について説明に努めてきたところでありますが、今後、設置位置や景観など、住民の方々の御意見も踏まえながら、具体案を示して丁寧に説明し、理解を得られるよう更に努力をしてまいります。 次に、水産業における六次産業化についての御質問にお答えをいたします。 県といたしましては、水産業復興プランにおいて、競争力と魅力ある水産業の形成のための柱の一つとして、六次産業化を位置づけております。また、国においても、ことし三月に見直された水産基本計画において、多様な経営発展による活力ある生産構造を確立する方策の一つとして位置づけております。今後とも、国の支援制度の活用も視野に入れ、関係機関と連携しながら六次産業化を推進してまいります。 次に、零細企業の支援制度の拡充等についての御質問にお答えをいたします。 県といたしましても、特に風評の影響を受けている農林水産業者や中小の食品製造業者等の販路の確保、拡大を図ることが重要な課題であると認識しております。このため、小規模事業者が多く加入する各種組合や事業者団体等も対象として、商談会等への参加費用などの助成を行っているほか、県産農林水産物又はその加工品を製造販売する事業者等に対し、県外での展示会、商談会への出展及び開催に係る経費などの助成を行っております。このほか、金融機関や大手食品卸等と連携した商談会や販売会の開催、県内事業者の意向を踏まえた東京アンテナショップを拠点とする営業活動への支援等にも取り組んでおります。今後も、このような取り組みを継続するとともに、県内企業の復旧・復興状況に合わせ、水産物及び水産加工品の販路の新規開拓に対する新たな支援制度等を検討し、風評の払拭や販路の確保、拡大を強力に支援をしてまいります。 次に、大綱二点目、保健医療の充実についての御質問にお答えをいたします。 初めに、医学部新設構想に対する県の今後の支援についてのお尋ねにお答えをいたします。 被災地である宮城県の地域医療の復興に当たっては、医師不足の解消が喫緊の課題となっております。そのため、我が県に医学部を新設することにより、地域医療を志す医師を重点的に育成し、医師不足の解消に取り組むことが望ましいと考えております。そのような中で、地元から医学部新設の構想が提案されていることを大変心強く感じておりますが、医学部新設に関して、国では、これまでの医学部定員増の効果検証等を踏まえ、引き続き検討するという立場でありますので、まずは医学部新設が認められるよう、被災地として地域の事情なども説明をしながら、今後とも国に働きかけてまいります。 次に、今後の地域医療、特に医師確保対策に向けての所見はどうかとの御質問にお答えいたします。 被災地域における地域医療の復興については、昨年九月にまとめた地域医療復興の方向性に基づき、国の地域医療再生臨時特例交付金を財源として、ことし二月に、第二期宮城県地域医療再生計画及び宮城県地域医療復興計画の二つの計画を策定いたしました。その中には、全壊した医療機関の再建や地域医療連携体制の構築等のほか、医療人材の確保対策として、医学生向けの修学資金貸付枠を大幅に拡充するなど、ハード、ソフト両面にわたりさまざまな事業を盛り込んでおります。県といたしましては、ドクターバンク事業等の医師確保の取り組みを今後更に強化するほか、宮城県医師育成機構の取り組みの中で、東北大学、医師会及び医療機関との連携を強化しながら、医師のキャリア形成支援等を通じ、医師が安心して地域医療に貢献できる環境整備に努め、医師の招聘、県内定着を促進してまいります。 次に、第六次地域医療計画中間案が最終決定されるまでに、気仙沼医療圏の再編方針を再考する考えはないのかとの御質問にお答えをいたします。 地域医療計画策定懇話会及び医療審議会のこれまでの議論の中では、中長期的な視点で、より広域的に二次医療圏をとらえ、震災からの復興も含め、限られた医療資源を最大限有効に活用するという視点で、地域医療体制を整備する必要性が重視され、今回の再編の方向性が示されております。県といたしましては、今後とも引き続き、関係自治体の皆様に対し丁寧に説明を行い、更なる御意見を十分いただきながら、現在実施中のパブリックコメントにおいて県民の皆様から寄せられる御意見も踏まえた上で、再編の対象となる地域の皆様や医療関係者に安心感を持っていただけるような計画にしてまいります。 私からは、以上でございます。 ○副議長(佐々木征治君) 環境生活部長本木隆君。    〔環境生活部長 本木 隆君登壇〕 ◎環境生活部長(本木隆君) 大綱一点目、大震災復旧・復興対策についての御質問のうち、災害廃棄物の県内処理の推進と処理経費の節減を図るべきというお尋ねにお答えをいたします。 災害廃棄物の処理に当たっては、県内処理を基本にこれまでも鋭意取り組んできたところでございます。その結果、県外で最終処分を予定しておりました不燃残渣四十三万トンのうち三十五万トンについては、二次仮置き場における破砕選別ラインの改造等により資材として活用できる見込みとなっております。また、亘理町の御理解をいただき進めております亘理処理区による石巻ブロックの混合廃棄物の受け入れについては、石巻市南境の一次仮置き場からの搬出が十一月までに完了するなど、県内の連携による処理も着実に進んでおります。今後とも、処理コストにも留意しながら、災害廃棄物の更なる再生資材化に取り組むなど、県内処理拡大を進めてまいりたいと考えております。 次に、変更契約の時期についての御質問にお答えをいたします。 さきの議会において変更契約の議決をいただきました石巻ブロックと亘理処理区を除いた六処理区につきましては、現在、処理量や処理方法など、変動要因の精査、確認を行っており、二月定例県議会へ変更契約を提案できるよう、現在作業を進めているところでございます。 私からは、以上でございます。 ○副議長(佐々木征治君) 保健福祉部長岡部敦君。    〔保健福祉部長 岡部 敦君登壇〕 ◎保健福祉部長(岡部敦君) 大綱二点目、保健医療の充実についての御質問のうち、大震災の復旧・復興状況の検証と反省を第六次地域医療計画にどう生かすのかとのお尋ねにお答えいたします。 第六次地域医療計画の策定に当たりましては、震災により我が県の地域医療が受けた被害が極めて甚大であったことを考慮し、東日本大震災からの復旧・復興という項目を新たに第二編として起こし、医療機関等の被害状況、医療救護活動及び地域医療復興に向けたこれまでの取り組み等の概要につきまして計画案に記載しております。また、これまでの復旧・復興の状況と今回得られました教訓を踏まえ、今後の災害医療に係る施策の方向性につきましては、五疾病・五事業及び在宅医療の内容を記載いたしました第五編に、DMAT、災害医療コーディネーター養成の推進や情報通信機能の充実強化等を盛り込んでおります。 次に、ノロウイルス対策についての御質問にお答えいたします。 ノロウイルス等による感染性胃腸炎につきましては、例年十二月から一月にかけてピークを迎えますことから、ことしも手洗い等の予防対策の徹底を図るため、マスコミを通じた注意喚起や関係機関への文書による周知を行っております。また、保健所等を通じまして児童施設や高齢者施設等に対する指導を行うほか、感染症の専門家による研修会等を開催いたしまして、予防対策の徹底を図ってまいりました。今後とも、関係機関と連携し、適切な対策を実施してまいります。 私からは、以上でございます。 ○副議長(佐々木征治君) 経済商工観光部長河端章好君。    〔経済商工観光部長 河端章好君登壇〕 ◎経済商工観光部長(河端章好君) 大綱一点目、大震災復旧・復興対策についての御質問のうち、グループ補助金の第六次募集の審査方針についてのお尋ねにお答えいたします。 グループ補助金の審査に当たりましては、基本的に、事業の趣旨にのっとり、復興のリード役として地域経済の中核を形成する中小企業等のグループで、地域の経済や雇用の維持にとって高い効果が期待され、かつグループ機能の回復強化のために効果的な共同事業を実施する復興事業計画を策定しているグループを採択してまいります。また、今回の六次募集の実施に当たり、二週間の特別相談期間を設定して多くの事業者からの御相談に対応したところでございます。第二回目の締め切りを来年一月十一日としておりますので、それまでの間につきましても、引き続き、グループからの相談に対してきめ細かく対応し、できるだけ多くのグループが採択されるよう助言してまいります。 次に、今後の取り組み方針についての御質問にお答えいたします。 県では、これまで本事業の継続を国に要望してきたところでございます。国も来年度予算の概算要求において、事項要求を行っているところでございます。今後、第六次募集や国の来年度予算の動向を見ながら引き続き要望するなど、適切に対応してまいります。 次に、事業に着手できない事業者への早期完成のための支援についての御質問にお答えいたします。 グループ補助金の交付決定を受けたものの、さまざまな要因により事業に着手できない事業者がおられることは承知してございます。県といたしましては、既に交付決定した事業者に対し、事業の進捗状況や完了の見込みなどについて聞き取りを行うなど、実態の把握に努めているところでございます。特に沿岸部においては、土地利用計画との整合性や市町が実施する各種災害復旧事業との調整が必要な地域もあることから、引き続き、関係機関と情報交換を行うなど、事業者が早期に事業に着手できるよう努めてまいります。 次に、地盤沈下対策についての御質問にお答えいたします。 地盤沈下した土地のかさ上げにつきましては、道路や上下水道などの整備と関連することから、市町などの関係機関と連携しながら対象区域の一体的なかさ上げを促進していくことが望ましいと考えてございます。現在、漁港区域内の水産加工団地では、国の補助事業を活用してかさ上げを進めているほか、土地区画整理事業においては、事業用地をかさ上げ対象として復興交付金の交付を受けられるよう国に働きかけながら、事業推進を支援しているところでございます。この中で、今回の復興交付金の第四次配分において、一定の要件を満たすものとされた場合には、効果促進事業として事業用地のかさ上げが認められたことから、従来の事業手法に加え新たな事業手法として今後大いに期待されるものと考えております。 また、被災事業者による個別のかさ上げにつきましては、グループ補助金において限定的に認められる場合があるほか、制度融資などの活用も考えられますので、事業者からの相談に応じて適切に対応してまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○副議長(佐々木征治君) 農林水産部長山田義輝君。    〔農林水産部長 山田義輝君登壇〕 ◎農林水産部長(山田義輝君) 大綱一点目、大震災復旧・復興対策についての御質問のうち、大谷海岸の今後の対応方針を一日も早く地元住民に説明すべきと思うがどうかとのお尋ねにお答えいたします。 林野庁では現在、地元の要望を踏まえた防潮堤の復旧位置の検討が進められておりますが、御指摘がありましたJR気仙沼線や国道四十五号の移設問題があることから、今後、復興庁と連携し、関係機関の参画も得ながら、更なる検討を進めていくものと聞いております。 県といたしましては、地元の要望に沿った形で、大谷地区のまちづくりや防潮堤の復旧方針が決定されるよう、復興庁、林野庁を初めとする国の関係機関や気仙沼市などと連絡調整を行っているところであります。今後とも、早期に復旧方針を地元に説明できるよう取り組んでまいります。 次に、大島の小田の浜海水浴場と隣接する田中浜海岸の今後の対応方針はどうかとの御質問にお答えいたします。 御指摘のありました小田の浜、田中浜については、防潮堤の整備が県道大島線と密接にかかわることから、現在、復旧方針について検討を進めているところであり、地元の要望であります砂浜の保全にも配慮しながら復旧を進めてまいりたいと考えております。 次に、本年度における県内農地の復旧見込みと復旧目標に対する進捗状況についての御質問にお答えいたします。 今年度の農地復旧面積については四千四百二十ヘクタールの着手を見込んでおり、目標面積四千百ヘクタールに対して、一〇八%の進捗率となる見込みであります。これにより、農地・農業用施設の復旧・復興のロードマップに示した平成二十四年度までの目標面積九千三百五十ヘクタールに対し、一万二百ヘクタールが着手済みとなる見込みであり、全体として復旧が必要な面積一万三千ヘクタールに対し、七八%の進捗率となる見込みです。 次に、気仙沼市と南三陸町の農地復旧にどう取り組むのかについての御質問にお答えいたします。 気仙沼市と南三陸町の農地復旧については、今年度末まで約三百九十ヘクタールに着手する見込みであり、進捗率は三五%と、県全体の進捗率である七八%までは至っていない状況であります。これまで堤防や道路の復旧を含め、まちづくり計画との調整に期間を要していましたが、今後、農地復旧については、地域の関係者の意向を踏まえ、可能な限り防災集団移転促進事業による住宅跡地の集積、再配置など、土地利用の整序化を実現するため、復興交付金による農地整備事業との一体的な農地復旧を計画的に実施してまいります。 次に、国の制度を活用した基盤整備事業と六次産業化や地域ブランド確立に向けた取り組みについての御質問にお答えいたします。 県では、関係市町からの要請を踏まえ、津波等被害が著しい農地について、復興交付金を活用し、大区画圃場整備を実施することとしております。これらの地区においては、競争力のある経営体の育成など農業振興はもとより、市町の復興計画実現に向け、移転後の住宅跡地の集積、再配置など、土地利用整序化に可能な限り取り組むこととしており、本事業の高い公共性をかんがみ、受益者負担を徴収しないこととされています。 こうした基盤整備を契機として、営農の再開に当たっては、ブランド化なども視野に入れた特色ある農産物の生産や販売を支援するなど、アグリビジネスや六次産業化を進めてまいります。 次に、本復旧とあわせた仮設復旧についての御質問にお答えいたします。 現在、各漁港において本格復旧工事を進めておりますが、御指摘のありました本格復旧の前に必要となる岸壁や物揚げ場などの仮設復旧の追加については、これまで、漁業者の方々の要望を受けて、十港十二地区で実施してきております。今後とも、漁業者の方々の要望をお聞きしながら必要な対策を講じてまいります。 次に、漁港整備計画の見直しについて地元漁港等への説明についての御質問にお答えいたします。 県管理漁港の災害復旧については、水産業集積拠点漁港と機能強化漁港は平成二十五年度まで、また、地区漁港については平成二十七年度までの完了を目指してきましたが、大型工事の発注が多く、工事そのものに時間を要すること、入札不調が増加していることなどから、完了年次の見直しが必要となっております。現在、工程の見直し作業を行っているところであり、今後、各漁港の復旧工事の中で優先的に完了させるべき施設を地元漁協や漁業者の方々と調整を行うなどしながら、漁港の早期復旧に努めてまいりたいと考えております。 次に、漁業関係者の提言についての御質問にお答えいたします。 今回の提言は、震災からの復興を目指し世界に誇れる水産業を構築することを目的に、ノルウェーの水産業制度を参考にまとめたものと伺っております。 県といたしましては、本年九月に実施されたノルウェー視察に職員を派遣し、漁業制度や加工場等の情報を収集してまいりました。ノルウェーの水産業は、日本の漁業と異なり魚種が少なく、漁船や漁業者数が少ないなど、事情が異なっているところもございますが、本提言については、我が県の実情に即しながら、可能なものは参考としつつ、我が県水産業のあり方を研究してまいります。 私からは、以上でございます。 ○副議長(佐々木征治君) 土木部長橋本潔君。    〔土木部長 橋本 潔君登壇〕 ◎土木部長(橋本潔君) 大綱一点目、大震災復旧・復興対策についての御質問のうち、県営の災害公営住宅の計画内容についてのお尋ねにお答えいたします。 県営住宅については、住宅の被災程度が大きく、災害公営住宅の整備戸数が非常に多いなど、復興への負担が大きい市町への支援として、県全体で千戸程度を整備することとしております。現在、石巻市、気仙沼市、東松島市などの市町から県営住宅の整備を要望されており、具体の地区、戸数、スケジュール等について早期に調整を図り、来年度から随時、事業に着手してまいります。 次に、災害公営住宅の整備基準や入居のあり方についての御質問にお答えいたします。 災害公営住宅の建設に当たっては、設置主体や整備方法が異なっても一定の水準が確保されるよう、ことし七月に宮城県災害公営住宅整備指針・ガイドラインを定め、復興住宅市町村連絡調整会議を通じて、市町と整備基準の共有化を図ってきたところであります。現在、県では、入居のあり方について、市町との勉強会等を通じ、阪神・淡路大震災などの事例等を参考にしながら、地域コミュニティーの維持や高齢者、障害者、母子世帯等に配慮した災害公営住宅における入居者の募集方法等について検討を行っております。 県といたしましては、災害公営住宅への入居が適切かつ円滑に行われるよう、今後も引き続き、市町の取り組みを支援してまいります。 次に、災害公営住宅の整備に当たっての住まいづくりの進め方に関する御質問にお答えいたします。 県では、建築、設計関係団体や福祉関係者などからの提言や意見を踏まえ、ガイドラインに基づき、県産材の活用や環境負荷の低減、少子高齢化への対応等に取り組んでおります。また、多賀城市や岩沼市においては、入居者の意見や提言を住宅の整備に反映させるためのワークショップを開催するなど、入居希望者が参加した住宅づくりが進められております。住民主体の住まいづくりは、コミュニティー維持の観点からも重要であることから、今後、他の市町でもこうした取り組みが行われるよう県として働きかけるとともに、取り組みを支援してまいります。 私からは、以上でございます。 ○副議長(佐々木征治君) 教育長高橋仁君。    〔教育長 高橋 仁君登壇〕 ◎教育長(高橋仁君) 大綱一点目、大震災復旧・復興対策についての御質問のうち、埋蔵文化財発掘調査の取り組み強化についてのお尋ねにお答えいたします。 復興事業に伴う埋蔵文化財発掘調査につきましては、調査期間の短縮が図られるよう、発掘調査基準を弾力的に運用するほか、自治法派遣職員等の応援により調査体制を大幅に強化し、市町が行う発掘調査に協力を行っているところであります。また、県が任期付職員を採用し、来年一月に要望があった被災市町へ派遣することも予定していると承知しております。このたびの発掘調査に当たりましては、市町と事業調整や情報共有を行い進めておりますが、復興事業の本格化に備え、今後も更に体制を強化し、市町と緊密な連携を図りながら、迅速な発掘調査の支援に努めてまいります。 以上でございます。 ○副議長(佐々木征治君) 四十三番内海太君。 ◆四十三番(内海太君) 質問項目多い中で丁寧に答弁していただき、ありがとうございます。 若干時間がありますので、再質問いたします。 特に住宅の市町の独自支援策については、先ほどの質問のやりとりも聞いておりましたし、ただいま知事からも答弁ありました。基本的な考え方は、それでいいと思いますけど、ぜひ、知事が従来から述べておりました--仙台市の分は今更、水準を下げると、これはできない相談ですけど、十三市町の独自支援のそれぞれ見ますと全くアンバランスですよね。被災の状況と財政規模によって、また、取り組む首長の意欲ももちろんあると思いますし、バックにあるものもあると思うもので、一概にとは言いませんけれども、ある程度の水準は県で調整してくれると。分権時代で、独自施策を、それはだめだとか、これがいいとは、知事ももちろん言えないと思うんだけど、そこは調整していくと、このラインに何とか頑張って乗せていくと、そのためには、基金の積み増し分の特交をちゃんと確保するという更に強い姿勢で臨んでほしいと思います。何とかうまくいきそうになったときに解散をされたもんですから、これはちょっとがっくりしていますけど、政権において引き続き、これはやると言ってたものをやらないと言う政党はどこもないと思いますので、それをバックに、ぜひ、知事も更に取り組んでいただきたいと、こういうふうに求めておきたいと思います。 それから、部長から答弁あった住宅づくり、これも県が示して、各市町右倣えということはなかなか難しいと思うんですね。それぞれの地域の実情もあるし、浜の方と町の中心部の人たちの住み方も違うと思うの。ただし、集合住宅については、三回もコミュニティーがぶっ壊されることのないように、このくらいはこういう地域の人たち、例えば仮設で、どこに行くという希望した人、全員入れてもらいたいという希望も寄せられていますよ、現地に行くと。一〇〇%そうなるかということは私もわからないけども、相当な部分、それに見合うだけの戸数が確保されるならば、配慮することを県が調整会議で情報公開して、なるべく住む町によって基準が大幅に違ってばらばらになってしまったというようなことのないように、これは、改めて、部長の所信を尋ねておきたいと思います。 ○副議長(佐々木征治君) 土木部長橋本潔君。
    ◎土木部長(橋本潔君) 議員おっしゃるとおりでございまして、仮設住宅等からお移りになられるということで、いろんな人が仮設住宅にいて、更にその人たちが一緒に同じ場所に住めるというようなことをこの間テレビで拝見しまして、なるほどなという感じを持ちました。いろんな形があろうかと思いますが、しっかりと市町と調整を図りながら、我々もいろいろ助言をしてまいりたいと、このように考えております。 ○副議長(佐々木征治君) 四十三番内海太君。 ◆四十三番(内海太君) 風評被害ですけども、実際は、風評被害とは思われない実態が明らかなんです。理由にされているだけだというのが、私は八割だと思っています。それに不況が色濃く影響されてますよ。生産しても売れないと。一年後に再開しても、もう別な取り引きできたからだめだというのが合わせて八割だと、訪問してそういう感じをつかんできました。しかし、中小零細企業は、そうはいっても一週間大阪に行く、北海道に行く、名古屋に行くっていう商談会や物産展になかなか行けませんよね。ここをぜひ、県も市町と相談して、国の制度はないので、これは県にやってもらうほかないんですが、特に新年度ではそこらに対する重点的な取り組みを期待するんですが、もう一歩突っ込んだ知事の所信をお尋ねします。 ○副議長(佐々木征治君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 議員御指摘のとおりでして、震災で物が出せない状況の中で、もう、ほかの地域、他県のほかのエリアの商品に棚をとられてしまって、なかなか棚を取り返せないということであります。これは非常に重要な問題で、事あるときに風評被害を理由にして、宮城産売れませんのでなんていうようなことで断られてる例もあるというふうに聞いております。したがって、そういったようなものをサポートしていって売れるようにすると。棚を奪い返す。表現はちょっとよくないんですけども、そういうつもりで支援をしていこうというふうに思っておりまして、新年度、そういったような事業もしっかりと考えてまいりたいというふうに思います。 ○副議長(佐々木征治君) 四十三番内海太君。 ◆四十三番(内海太君) 最後に、防潮堤ですが、具体的に言った気仙沼湾の湾奥、魚町とか南町ですね。それから、大島の浦の浜、唐桑町の鮪立漁港、小鯖漁港、ここは懸案の漁港です。とりわけ、湾奥部と浦の浜漁港はいろいろ議論があって、知事にも過日、住民代表が、工夫してやれと、もっと耳を傾けてくださいと、一案でなく二案ぐらい持ってこいと、こういう話もあったやに聞いていますけど、今申し上げました二つの漁港について、いつごろ具体的に提案するのか、お尋ねします。 ○副議長(佐々木征治君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 今、最終的な詰めをやっておりまして、いろんな形のシミュレーションをかけながら、どうすればいいのかということを考えているということであります。非常に、防潮堤をつくるエリアも限られておる場所ですので、その中で工夫しながら、何とか住民の皆様に御理解いただけるようにということで今、鋭意やっております。時期につきましては、なるべく早くというふうにしかまだ言えませんけれども、これができませんと、その後のまちづくり計画は十分なものができませんので、早急につくように指示をしているということでございます。もう少しお時間をいただきたいと思います。 ○副議長(佐々木征治君) 四十三番内海太君。 ◆四十三番(内海太君) 時間ですから、終わります。 ありがとうございました。 ○副議長(佐々木征治君) 残余の質疑、質問は、明日に継続することにいたします。----------------------------------- △散会 ○副議長(佐々木征治君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 明日の議事日程は、追って配布いたします。 本日は、これをもって散会いたします。    午後三時十二分散会...